1.5W副長(第二部) 完結
□第18章 崩壊 その玖
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屯所は夜の闇の中轟音をあげて燃えていた。屯所の周囲を取り巻いていた長い土塀は
外に向かって倒れ、火を噴く家屋が目前に露わに見える。
火消し達が周囲から水を放水しているが、この火勢では簡単には鎮火しないだろう。
沢山の町の住人達が不安げに何やら囁き躱しながら、それを遠巻きに眺めていた。屯
所の周囲を固める見廻り組の男たちに小突かれても皆容易にその場を去ろうとはし
ない。
真選組の隊士達の姿はどこにも見えなかった。
「くそっ!」
銀時は手近にいた男の肩を掴んでゆさぶった。
「幕府の軍勢はここに来たのか?! 真選組の連中はどのくらいやられたんだ?!」
「え?ちょ、ちょっと・・・。」
男は慌てて周囲を見回すと、逆に銀時の袖をひいた。
見廻り組の男たちの姿を確かめ、銀時を離れた路地に連れ込む。
「あんた真選組の関係者? やばいよ!今、そんなことバレたらあっという間にこれ
だぜ。」
男の手が首を斬るような動作をした。
銀時は一つ大きく息をつく。
「すまねえ。ちょっと慌てちまって。」
どうやら男は銀時が真選組の関係者だとしても見廻り組に引き渡そうというような
タイプではないようだ。
「まあ、びっくりするのも仕方ねえよな。実際、大変な騒ぎだったんだぜ。」
「どんなだったんだ?」
不安で心拍数があがる。
「幕府の軍勢はついさっきまでここらに押し寄せてきていたんだよ。それがとんでも
ねえ数でさ。しかも関係ねえ周りの家屋敷まで荒らしやがって、何が反逆者の探索だ。
ひでえことしやがる。」
屯所の周囲に立つ何軒かの家には壊されたような跡があった。
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