1.5W副長(第二部) 完結
□第15章 崩壊 その陸
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「この野郎・・・・!」
銀時は、ぎりりと歯を噛みしめ高杉を睨みつけた。
高杉が幕府の人間である佐々木とまで手を組んでいることを知り、もしその企みが真
選組に害をなすものであるなら、なんとしてでもその企みをぶっ壊してやると思って
いたのに。
(間に合わなかった・・・・!)
真選組は最悪な形で消え去ろうとしている。
「てめえが攻撃させたのかよ?!土方の身になんかあったらとか考えないわけ? あ
いつに惚れてるんだろう?!」
体中に散っていた鬱血痕に目を瞑り土方を抱きしめた幾つもの夜。
消えない茶色い痕に何度ため息を吐いたろうか。
銀時の瞳に苛烈な怒りの光が射す。
拳を震わせて己を睨む銀時を高杉は冷たい目で見つめた。
「ああ、惚れてるさ。」
歯を食いしばり銀時に惚れていると宣言した土方の刺すような真っ直ぐな濃紺の瞳。
「こいつはあいつの目ぇ覚まさせるための、まあちょっとした荒療治ってやつだな。」
「荒療治だと・・・?」
「そうだ。失わなきゃ気付けねえことに気づかせてやろうってことだ。」
「ふざけんな!てめえ勝手なことばっか言いやがって! 惚れてる奴が大切にして
いるものだったら、それを護ってやらなくて
どうするよ!」
銀時が声を荒げた。
「護ってやる・・・か。口で言うのは簡単だな。」
高杉が冷ややかな視線を銀時に向ける。
「酉の正刻、つまり午後6時ちょうどに幕府は軍勢を江戸城から出撃させ真選組を殲
滅することになっている。」
「殲滅・・・?!」
銀時は拳を痛いほどに握りしめた。
「そうだ。真選組はおそらく一人残らず死ぬことになるだろうな。まあ、これまでな
んだかんだで危機を脱してきたせいでこれほどの過剰な反応を呼び起こしたんだか
ら自業自得ってなわけだが。」
銀時の肩がピクリと跳ねた。
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