1.5W副長(第二部) 完結

□第13章 崩壊 その肆
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(・・・それでか!)

佐々木は松平片栗虎の失脚を知っていたのだ。いや、むしろその結果が近藤への事情

聴取なのだろう。

「近藤さん。行っちゃだめだ。こいつは罠だ!」

「うん。」

今後の対応にめまぐるしく頭を巡らせながら近藤にそう告げれば、近藤はどこか気の

抜けたような返事をした。

「そうかもな。」

「近藤さん?!」

わかっているのかと振り返れば、近藤が静かな顔で土方を見ていた。

「そうかもしれねえけど、俺は行かねえと。見廻り組の連中も痺れを切らしてるし。」

「何言ってんだ?!罠だって言ってるだろ?行ったら、あんた帰ってこれねえぞ?!」

近藤の呑気な言葉に思わず言葉が尖った。

「トシ。」

それに近藤が静かに返す。

「見てみろよ。見廻り組の連中の装備を。俺が行かなきゃ、連中ここを蜂の巣にする

気だ。」

それはわかっていた。

見廻り組の隊士たちの持つ銃火器を相手にしたらこちらの損害はただではすまない。

しかも、真選組には逃げ場所はないのだ。

「俺は行くよ。」

近藤が繰り返す。

「行けば、あいつらもここにいる理由がなくなる。」

「だけど・・・!」

必死で説得しようとする土方に近藤が安心させるようにニッと笑った。

「トシ、そんなに心配しなくたって大丈夫だ。どんな誤解があったのか知れんがとっ

つぁんはすぐ戻ってくるさ。あのオヤジがやられてそのまんまなんてことないだろ。

とっつぁんがいなくたって将軍様がいる。将軍様は話のわかる方だ。きっと力になっ

てくださる。俺は行ってくるよ。そんでわかるようにきちんと話をしてくる。」

「近藤さん・・・。」

「大丈夫だ。だって俺たち何にも反逆なんてしてないじゃん。」



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