1.5W副長(第二部) 完結

□第10章 崩壊 その壱
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「その携帯は土方へのプレゼントだと言ったはずだが?」

夕闇の迫る丘の斜面を高杉がゆっくりと降りてくる。

「銀時、てめえのために渡したんじゃねえ。それをいきなり呼びつけて何の用だ?」

言葉とは裏腹に高杉の声色は微かに嗤いを含んでいる。

「ンなもん土方に渡せるわけねえだろ。バカですか?つうか、どんだけ人のことを待

たせやがる。」

銀時は冷え切った体をぶるりと震わせると不機嫌そうに懐から濃紅の携帯を取り出

した。




高杉にこの携帯で連絡をとったのは今日の早朝のことだ。1件だけ登録された番号は

確かに高杉につながっていた。本当なら二度と会うつもりもなかった男の声がそこか

ら流れてきた。

「銀時か。」

「話がある。」

ほんの短いやりとりの後、高杉はとある江戸郊外の丘を指定した。

「そこで待ってろ。」

電話に出た高杉はまるで銀時が連絡をしてくるのを知っていたようだった。

そしてそのまま銀時は十数時間をこの丘で待ち続けたのだ。



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