1.5W副長(第二部) 完結

□第7章 bitter chocolate その肆
1ページ/4ページ


「どうか、どうかお助け下さい!」

泣きながら駈け込んで来た若い女が門のところで隊士に縋っている。

「お願いです!うちの人、何もしていないんです!誤解なんです!!」

悲痛な声が副長室まで聞こえる。

土方はギリッと奥歯を噛みしめた。



11番隊は土方達が天導衆に呼び出されたその日に活動を開始した。指名手配犯に驚

くほど多額の懸賞金をかけて世間に喧伝し情報を募ったのだ。すると、翌日これに応

えて早速情報がもたらされたようであった。

それは、ある商家に桂が出入りしているのを見た、というものだったらしい。

11番隊はただちにその商家へ急行し、あろうことか商家の主人をのぞく全員を皆殺

しにした。商家の主人に対しては激しい拷問を行ったが、主人からは何も聞きだせず、

桂の行方はまったく知れなかった。拷問の末、主人は死に、次の日には、懸賞金目当

てに情報を持ち込んだ男が川原で斬殺されて発見された。



「真選組11番隊」の名は一日にして恐怖とともに街に轟き渡ることとなった。

人々は口を閉ざし、11番隊に情報をもたらすものは一切いなくなった。

市民からの協力が得られなくなった11番隊は、次々と人々を捕縛し始めた。根拠も

なく逮捕し、11番隊の屯所と称している屋敷に監禁する。事態を知った松平と近藤

が屋敷を訪ねたが、「会う必要はない。」という愛想もそっけもない言葉が返されただ

けで顔を見せることもなく追い返された。



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ