1.5W副長(第二部) 完結
□第2章 Ghost in winter
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正月らしい突き抜けそうな青い空。
うっすらとしたベールのような雲のかけらが空の高いところをほんの少し白く霞ま
せている。
死んで辿りつく先が雲の上なんだとしたら、今日はずいぶんと狭苦しいことになって
るだろう。
中には、うっかり地上に落っこちてくる奴もいるんじゃねえの?
ぼんやり上を見上げてそんなことを考えていたら、神楽が俺の袖をくいくい引いた。
「銀ちゃん、いつも空ばっか見上げて何見てるアルカ?お空のうえの誰かと交信でも
してるアルカ?」
「ああん?何電波なこと言ってんだ?ンな訳ねえだろ。誰とも交信なんざしてねえよ。
つうか、こんな正月開けたばっかで何の話してんだよ。お空の上に行っちまった連中
のこと語るような季節じゃねえだろが!」
手を振って話を終了させようとしたら、俺達の話を聞いていた新八が口を挟んできた。
「そういえば、お正月だけど噂あるんですよ。出るらしいですよ。」
「出るって何が?」
聞き返せば、新八が両手を胸の前に垂らして低い声を出した。
「だから幽霊です。」
「はあ?」
こんな冬の真っただ中に?
「新八、おまえ今何月だと思ってんの?一月だぜ。幽霊なんてもんは今頃は山奥にあ
る洞穴で冬眠中なんだよ。」
今時出てくるなんてどんだけ季節感のない幽霊だって話だ。
「でも銀さん、これ巷ではかなり広まってる噂なんですよ。」
新八が食い下がる。
「長い髪の女の人みたいな幽霊が誰か探してるって。」
「女の人みてえ?ってか、女の人みてえってことは、女じゃねえの?オカマか何か
か?」
「銀ちゃん、そういうこと言ってると呪われるアルヨ!」
神楽が口を尖らせて話に入ってきた。
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