1.5W副長(第二部) 完結

□第1章 ラプソディ イン 真選組
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夜明け前の薄ぼんやりした光の中、自分の布団から抜け出しそっと隣の布団に近づく。

緩やかに上下しているむき出しになった肩に布団を掛けてやりながら、顔を覗き込ん

だ。

艶やかな長いまつ毛が目元に黒々と陰影を作っている。

目を瞑ってる時は険がとれて、整った顔立ちが特に際立って見えると思う。

頬に指を滑らせると、土方が眉をかすかにしかめ次の瞬間ハッとしたように目を見開

いた。同時に右手がさっと傍らに置かれている刀を掴む。

「・・・・んだ。てめえか・・・。」

見開いた目の前に俺の顔を見つけると、土方が安心したように呟いた。

「おはようのチューをしにきました。」

真面目くさった調子でそう告げると、土方がバカと笑って俺の首に両腕をまわした。

濃紺の瞳を覗きこめば、瞳の中で俺が笑っている。

首の後ろで俺の髪を弄る土方の指先がくすぐったい。

うん、おめえ実は結構俺の天パ好きだよね。

かすかに開いた唇に己の唇を近づけた。

淡い光の中土方の舌が唇の中で誘うようにちろりと蠢いた。

「土方・・・。」

名前をつぶやくと性急に唇を押し付け・・・・・。

押し付け・・・・、



その瞬間、辺りにぶわっと殺気が漲った。

咄嗟に土方を抱えて翻転する。


ヒュ〜


頭上をランチャーの弾が掠めていく。


ドッカーン!



「総悟!!!」

土方が飛び上がると怒鳴った。

硝煙の中にランチャーを構えた栗色の髪の悪魔が現れる。

「土方さんの部屋にとんでもなくおぞましい気が立ち込めたのを感じたんでさ。」

沖田がニッと笑った。

「てめえっ!いい加減にしろ!」

沖田が憎まれ口を叩きながらバタバタと逃げていくのを土方が追いかけていく。

「あ〜あ。今日はここで終了かよ。」

土方の後ろ姿を見送ってばりばりと後頭部を掻いた。

壁に開いたドでかい穴をちらりと見てため息をつく。

ったく、あのガキは・・・。

は〜あと布団に転がると大あくびを一つした。

せっかく早起きしたってのによ・・・・。



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