1.5W副長(第一部) 完結

□第13章 友だち
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万事屋が大けがをした。

隊士からの報告を聞いたとき、土方は将軍の護衛からちょうど解放されたところで、

城に常駐している警護の連中に引継ぎをすませ屯所に戻ろうとしているところだった。

「坂田さんが重傷を負って意識不明です。病院に搬送されました。」

と告げる隊士の声に一瞬全身から血が引いた。

「意識不明だと・・・?」

「はい、ひどい火傷とかで・・・。」

「状況は?!」

この日、万事屋は、土方達真選組本体と離れ、新八、神楽とともに万事屋班を中心と

する別働隊を指揮して、そよ姫の護衛にあたっていた。

「爆弾が爆発したようなのですが、詳細はまだ・・・。」

「爆弾だと?! ほかに被害は?!」

車に飛び乗り、サイレンの点灯を指示する。

最悪の事態が脳裏に浮かび、背筋に冷たい汗が流れる。

「被害はほかにはないようなのですが・・・・。」

隊士の言葉に思わず、その言葉を発した隊士を睨みつけた。

隊士は、土方の鋭い視線に怯えて身をすくませる。

爆弾の爆発で、被害が万事屋一人・・・・?

(また、無茶しやがったのか・・・?)

初めて池田屋で会ったあのときも一人爆弾を抱えてビルから飛び出していた。



土方が駆けつけた時、銀時はストレッチャーに乗せられて手術室に運び込まれる直前

だった。

意識をかろうじて取り戻しており、土方を認めると、

「わりぃ、失敗した。神楽を頼むわ。」

と苦しい息の下、絞り出すように言った。

「神楽?」

土方が問い返すと、探してくれ、頼む、と言って再び意識を失った。

付き添ってきた新八を見ると銀時の怪我に動揺して顔つきが変わっている。

「志村、神楽は?」

と聞くと、ハッとして、

「すみません。探してきます!」

と走り出そうとする。

その体を押しとどめて、土方は言った。

「心当たりはねえのか?何があったんだ、神楽に。」

神楽は、今回、そよ姫の身代わりになって華やかな姫駕籠に乗っていたはずだ。

「銀さん、神楽ちゃん庇って怪我したんです。」

爆発はそよ姫を狙ってのものだったらしい。将軍家の一員とはいえ、たかだか12,

3の少女を殺そうとするとはとんでもねえ外道だ。

「神楽ちゃん、すごくショックを受けてたようで。でも、ずっと、一緒にいたと思っ

てたんですけど、こんな時に一体どこへ・・・?」

おろおろする新八に

「おまえは糞天パについてろ。神楽は俺が探してくる。」

と言い置いて、土方はその場を後にした。

病院の入り口で山崎を見つけ、今回の爆破テロについて分かったことを報告させる。

「犯人は、どんなやつかわかったのか?」

「はい・・・。女の子だったようです。12、3才くらいの。」

「女の子だと?」

「はい」

「で、そいつは?」

「その場で爆死しました。」

そよ姫、神楽、そして犯人全員が12,3歳の少女だ。

しばらく二人は顔を見合わせていたが、やがて土方が言った。

「神楽を探してくる。なんかあったら報告しろ。」


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