1.5W副長(第一部) 完結

□第8章  再会
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(なにしてんのかなあ〜。)

ジャンプから顔を半分のぞかせながら、土方の部屋の様子をうか

がう。

夕飯がすんで、新八と神楽は恒道館に戻っていき、銀時は部屋で

ジャンプを読み返していた。

しばらく、ごろごろしてから、隣の部屋にずりずり這って近づく。

そっと、襖をあけて中を見た。

土方が、端正な横顔を見せて、書類作業に没頭している。

さらに大きく襖を開ける。

土方は変わらず、作業を続けている。

土方の部屋の中にずずっと腹這いのまま入ろうとすると、

「邪魔すんじゃねえ。」

書類から目を離さないまま、土方がぴしりと言った。

「つまんねえよ。」

「仕事中だ。」

「いつ終わんの、それ?」

「当分かかる。」

「パソコンなんて使えるんだ。」

「当然だろ。てか、黙ってろ。」

「なにやってるか、見てもいい?」

「ああ?」

土方は、ちょっと考えてから、来いと顎をしゃくった。

銀時がパソコンの画面を覗く。

「何?今日の報告?」

「ああ、各隊の報告の入力だ。」

「ふうん、それ、打ち込むの。」

土方の手元に隊士たちが書いた書類がある。

「最初から、自分でやらせれば?」

「パソコンなんて、使えねえ奴がほとんどだ。」

「・・・・・やってもいい?」

「・・・・・おまえパソコンなんか打てるのか?」

「万事屋馬鹿にすんなよ。ま、見てな。万事屋の仕事が力仕事だ

けと思ったら、大間違いだぜ。」

「ふん。・・・・じゃ、試しに、ちょっとだけやってみろ。」

半信半疑の体で土方がパソコンの前を明け渡す。

銀時は、のっそりと座ると、書類を見ながら、入力を始めた。

指がなめらかにキーの上を滑りはじめた。

土方の眼が丸くなる。

書類と打ちあがっていくパソコンの文章を見比べる。

「てめえ、本当にうてるんだ。」

「ふ、ふ〜ん。」

土方があからさまに感心したので、銀時は気分をよくする。

土方が待ってろといって、どこからかもう一台パソコンを運んで

きた。

二人で並んで文章を打ち込んでいく。

一時間もせず、作業は終了した。

「おまえってやつは・・・・。」

いつも一人でしているときは3時間ほどかけている作業である。

土方は絶対にできないと思っていたパソコン仕事を難なくこなし

てしまった銀時に嘆息する。

「そこ、ため息つくとこじゃねえんじゃねえの?」

「やる気なさそうなくせに、なんでもかんでもできやがって・・・。」

「しょうがねえだろ。俺って、ほら天才だから。ねたむなよ。凡

人くん・・・うがっ!」

土方の拳が銀時の顔面にヒットした。

「てめえときたら、最終的になんでもむかつく話にする天才だな、

コラ。」

銀時が鼻があと叫びながら、悶絶している。

「ま、いい。時間もできたことだ。飲みに行くか。てめえは、ど

うする?」

「いくいく。行ってもいいの?おごり?」

「・・・・・仕方ねえな。おら、行くぞ。」

「おう。」

銀時は嬉々として腰をあげた。
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