小話

□Hotel Cävalry ・・・R18
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 土方がシャワー室に消えていったところで、銀時はもう一度周りを見回した。

 ベッドがとてつもなく大きい。

「どんだけヤリまくっても転げ落ちたりしなさそうだな」

 しかも、

「うおお〜。気持ちいい〜〜」

 寝転がってみると、やわらかでしなやかな毛足のシーツがふんわり体を受け止める。ラブ

ホにこんなラグジュアリー感満載のシーツとかあるんだ。

「さすが、高級ラブホ……」

(あいつら、すげえな)

 神楽、新八、グッジョブ。よくこんなとこ見つけてきたよ。なんか、ここ完璧な気がする。

多分、会員カードを持っていない真選組の副長返せ軍団は、ここには入ってこれてない。

「くそ〜!今日こそマジでぐっちょんぐっちょんになるからな!」

 誰にとも知れず宣言した。

 だって、一年である。一緒に暮らせば、イチャイチャなんてどれだけでもできると思って

いたのに、意外と忙しい日々とどうかと思うタイミングで邪魔してくる真選組の連中のせ

いでろくすっぽヤレテない。

一度、あまりにもタイミングよく邪魔してくる真選組に、部屋が盗撮か盗聴でもされてる

んじゃねえかと疑ってジミーを締め上げたことがあった。結果、盗撮とかをしていたわけで

はなくて、2人がヤリ始めると如何にもな感じで、下のスナックのぺらっぺらな天井がギシ

ギシ鳴り始めるからわかるのだということがわかった。

「ババアッ!! このおんぼろハウス建て替えろやあ! 店子のプライバシー、ぜんっぜ

ん守れてねえじゃねえか! どうしてくれるんだよ?これ!? 土方クンの可愛い喘ぎ声

とか他人に聞かれてたらば! どうせがっつり貯めこんでんだろ!? さっさと鉄筋コン

クリートだかのガッチリした奴に建て替えてくれ!」

発散できない欲求不満と相まって、そうお登勢に向かって怒鳴ったら、

「はぁっ!? 払いの悪い店子のせいで、まったくこれっぽっちも貯めこめてねえよ

っ!! どうしてくれるんだい!? 老い先短いってのに、てめえのせいで老後資金がな

くてそこらの道端で野垂れ死ぬことになっちまったら!? 建て替えたいなら先立つモノ

をてめえが耳ぃ揃えて用意してきな!!」

と怒鳴り返された。

そんなわけで、今もスナックお登勢も万事屋銀ちゃんも安普請な店構えのままで、銀時と

土方はセックスの際には細心の注意を払って床を軋ませたりしないように気を付けている。

とは言っても、夢中になれば細心の注意なんて払ってられなくなってしまうのだけれど。

「今日は、ヤルぞ!」

改めて己と世界中に宣言する。

土方の入っていったシャワー室からは、うすぼんやりした光と微かなシャワー音だけが

漏れてきていて、すぐ出てくる気配はない。

(じっくり洗ってんだろうな…。スミズミマデ)

 あいつ、そういうの凄く気にするタイプだから。よっぽどのことがなければ、準備のない

セックスはノーサンキューな土方クンだ。

「しばらく、待つんだったら」

 銀時はむくりと起き上がった。隣りの部屋まで行って、ガラスケースの中を覗き込む。

(精をつけとくか!)

 ケーキを食べたら精が付くかどうかは議論を待つところではあるが、それはともかく銀

時はガラスケースの中から、苺がぎっしりと乗っているケーキをつまみ出すと一口で口に

放り込んだ。

(ん〜〜〜〜っっまいっ!!)

 なんだか魂の底からほぐされそうな美味さが体に広がっていく。

(最高だよ!最高!!)

 もう一つ、今度はチョコレートのケーキをほおばると、銀時はふわふわした気分でベッド

に戻った。

 指についたクリームをなめとりながら、ぼんやりと天井を見上げる。

(あ〜、幸せ〜〜)

 と、体がみるみる熱くなってきた。気が付けば、銀さんの銀さんがギンギンだ。

(へ!? なんだこりゃ!? え、え、え、?もしかしてこれもサプライズ? って媚薬

っ!? ってか、まじいよ、コレ!セックスなのに片っぽだけ盛り上がりすぎちゃってるっ

て、かなりやべえよ!)

ガキにはわかんねえだろうけど、銀さんだけノリノリって土方クンには迷惑行為だから

ね?そもそもあいつの方が体の負担も圧倒的に大きいんだからね?やる気ないのに銀さん

にガツガツ攻められるって結構辛いらしいから。や、これ、色々やってきて銀さんも学んで

っから。勝手に盛り上がり過ぎた結果、土方クンのアソコが可哀相なことになっていること

に気づいて平謝りに謝ったことも何度もあるし…。

 これは、流石に余計なお世話だと、心の中で新八と神楽にぎゃあぎゃあと怒りながら焦っ

ていたら、カラリとシャワー室のガラス戸が開いた。



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