小話

□博打ダンサー
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怒鳴っていた。

「あいつは俺に手を出したりしなかった!」

「・・・。」

俺の剣幕に圧されたのか、一瞬黙った坂田はちょっとしてからポツリとつぶやいた。

「じゃ、出しちゃったの?おめえが?」

「何で俺と高杉がデキてる前提で話進めてんだよ!?なんもねえよ、あいつと俺の間には。」
あいつとの関係は絶対に秘密だ。こんな胡散臭い野郎に打ち明けられるか。

「ふうん。」

坂田はそうなの?と呟きながら後頭部に片手をやった。

「おめえの顔見た瞬間、てっきりと思ったんだけどねえ。違うんだぁ、へえ、俺なら絶対いくけどね。何しろモロ好みだし。これはキターと思ったもんね。そうなんだ、何もなかったんだ。」

「・・・て、てめえ?」

「あ?声出てた?」

「出てたよ。出てた?とかってレベルじゃねえよ!」

「そうか、まあ、バレちまったら仕方ねえな。そうだよ、悪いか?コノヤロー。俺は正面ど真ん中のゲイの銀さんだよ。彼氏いない歴イコール年齢だがな。ちょっと焦ってんだよ。悪いかよ!コンチクショー!」


こいつヤバいと逃げようとした腕をがしっと掴まれた。振りほどこうとしてもどれだけ馬鹿力なのかびくともしない。

「待てって!無理やり襲ったりはしねえから!確かに焦ってるけど、銀さん、巷ではジェントルマンって呼ばれてるから!」

ものすごく必死な顔で坂田が叫ぶ。

「信用できねえ!なら、腕離せ!離れろ!」

「いやいやいやいや。腕離したら、おめえどっか逃げてっちゃうでしょ。てか、話聞け。」

「話って何の話だよ!?何の話があるっつうんだ?今さっき会ったばっかの野郎と!」

「だから!」

坂田がぐいっと迫ってくる。

「だ、だから?」

「・・・だから、」

坂田は少し口ごもった。

「だから何だ?」

「・・・え〜と、」

「何なんだよっ!?」

イライラして怒鳴れば坂田の俺の腕を掴む手に力がこもった。

「おめえに一目惚れしたんだよ!フォールインラブなんだよ!真っ逆さまなんだよ!!わか

ったか!?だから、結婚前提にお付き合いしてください!!」



もちろん、丁重にお断りした。腕を振りほどき頭突きして膝蹴りしたうえアッパーカットを見舞ってやった。

でも、「友達からでいいから。」とか散々ごねて手を離そうとしない坂田を見ているうちに思いついたことがあった。

「本当に友達でいいんだな?」

「あん?もしかしてなってくれるわけ?お友達にさ。」

坂田がニッと笑う。

「ああ。村ン中の案内くらいならしてやるよ。これから兄貴が世話になるみてえだしな。」



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