1.5W副長(第二部) 完結

□第4章 bitter chocolate その壱(R18)
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首筋に唇を押し当てたままじっと動かない銀髪を撫でる。

銀時の肩越しに万事屋の板張りの天井を眺めた。

(こうして何回体を合わせただろう。)

非番のたびにこうして万事屋に来て情を交わす。

欲しくてたまらなかった銀時に抱かれて繰り返し絶頂を迎える。

獣の目をして押し倒してくる銀時を見れば、体の芯が熱くなり、

ほかの誰にも聞かせられないような恥ずかしい喘ぎ声もあげる。

それで銀時が悦んでいるのを見れば嬉しいと感じる。

幸せと言うものがあるのなら、これがそうなのだろう。

それなのに・・・・。


(隻眼のあの男の言葉が脳裏から離れない。)


『俺も昔銀時に抱かれたことがあるからな。』

高杉が俺の耳奥に垂らした言葉は、黒い闇となって胸に広がり、

意味の分からない不安に惑わされそうになる自分にどうしようもなく苛つく。

『てめえは、俺に似ている。』

(銀時、おまえにも俺は高杉に似て見えるのか・・・?)





「って、馬鹿か、俺は・・・。」

思わず出た声に銀時が身を起こした。

「どした?」

「なんでもねえ。」

無防備に俺の隣に体を横たえて顔を覗き込む銀時の紅い眸に、心臓が一つどくりと高

鳴る。

(ああ、今でも俺はおまえに夢中だ。)

恋しくて欲しくてたまらない。

(どんなに高杉に抱かれても、おまえのことだけを想っていた気持ちはおまえに届い

ているだろうか・・・?)

高杉には決して聞かせなかった嬌声をあげ、決して見せなかった痴態を見せて、おま

えだけが好きだと心の中で呟く。




願いがかなえられたものには、それを失う恐怖も与えられるのだという事を、銀時に

愛されるようになって、俺は知った。




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