1.5W副長(第二部) 完結

□第34章 奪還 その拾六
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目を覆っていた布が取り除かれると、広大な広間とその中にひしめくようにして座る男たちの

姿が見えた。

一歩広間の中に足を踏み入れれば、ぴんと空気が張りつめ、ざわめきが一瞬消える。


(は、見たことある連中が雁首並べてやがる。)


広間にズラリ揃っているのは、いつも真選組が追いかけていた攘夷志士達。


背後に立つ男が俺の縛りあげられている腕をぐいっと引いた。

一瞬よろけて下がった視線に、部屋の中央に敷かれた一枚のゴザが飛び込んでくる。

その意味に知らず背筋がぞくりとした。

はっとして小さく唇を噛みしめる。

(顔色を変えなかっただろうか。)

舐めるように男たちが俺の顔を見つめるのは、その表情に恐怖を探しているからだ。

(真選組副長土方十四郎が死ぬこと怖がってただなんて絶対思わせるわけにはいかねえ。)

気付かれないように小さく息を吸った。




近藤さん、あんたたちに何一つ話さずに出てきちまった俺の最期の矜持だ。

真選組にはただの一人も臆病モンなんざいねえってこと、きっちり証明してやる。

まあ、死ぬのが怖くないのかっつったら、怖いに決まってるがな。



とはいえ、こいつらにそんなことは死んでも悟らせねえよ。

顔の上を這いまわる視線を跳ね返すように男たちを見返した。



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