体験入学 Girl

□勝負だ!Part 1
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教室に戻ると、みんなはまだ深刻な顔をしながら話し合ってた。


あたしの姿を最初に見つけた月島ちゃんは「あっ!」と声を上げてあたしの方に指を指す。


みんなもこっちを向いてくる。


『た、ただいま?』


「カナ、ご苦労さん。結局駄目だったでしょ?あたし達も前に話にいったんだけど、やっぱりだmー」


『それなら大丈夫!』


「「「「へ?!」」」」


全員がびっくりした声を出す。


「じゃ、じゃあ、許可が取れたんですか?」


小声で尋ねる月島ちゃん。


『それはまだ。でも、条件を出してもらったんだ〜!』


「条件?」


興味深くこっちを見てくる天野ちゃん


『ふふん♪あたしが立海男子テニス部レギュラーを皆倒す事が出来たらだって!』


「「「「.........」」」」


さっきまで輝いていた顔が暗くなった。


「あーあ、うちらのテニス部は終わりだ」


「やっぱり、駄目でしたか...」


「しょうがない、来年まで待とう二人とも」


テンションが下がった女子三人は悲しい表情でお互いと目を合わせた。


『ちょ、ちょっと!そんなにあたしが弱いと思ってるの?!これでもテニスでは自信あるんだから!』


「無理だ。うちらの男子レギュラー、怪物並みに強いんだよ。な,仁王に丸井」


まだそばに立っていた二人に目を向く天野ちゃん。


「ま、まあな...でも!俺たちが手加減してみんなに負けてもらったらー」


「バカ言うな丸井。あの鬼監督がそれに気がつかないとでも思っとるのか?そんな事をした時点でこのディールを取り消されたら女子が怒るナリ」


「た,確かに...」


迷う丸井。


『あのー』


「じゃあ、やっぱりあきらめるしかない。ほら、大会に出る事はなくても、まだ校外で練習をする事は出来るし、皐月と明里、カナも一緒にー」


励まそうと頑張る美香の話にあたしは


『だからって目の前にあるチャンスを見逃す事はあたしには出来ない!』


シーンと静まった教室。


ちょっと言い過ぎたかな...?


いやいや、絶対あそこまで言わないと分かってくれない!


『...て事で、仁王と丸井、このメッセージを部長さんに伝えてくれない?時間はいつでもいいから。あ,でも今日中だと助かる〜、むしろ今日の放課後ってことで』


「...てか、拒否権無しかよぃ」


「まあ丸井、これも心の距離が縮まったって事ぜよ。試合なんか簡単な用件じゃ」


『何が心の距離だぁ!』


「星宮、こんな事で気が散ってると、一生忙しい事になるからやめな。うちらはもうあきらめる事にした」


あたしの肩に手を乗せて,しょうがないという顔でこっちを見る天野ちゃん。


これ、慣れちゃっていいのかい...?


う〜ん...


「ふ〜ん、そう言う事なら喜んで勝負を受けてあげるよ星宮さん」


『へ?』


「「?!幸村(君)!」」


ビックリする丸井と仁王が声を上げた。


幸村って...


「やあ皆。ちょうど此処の前を通ったら面白い話を聞いたよ。部長として,僕はそれで構わないけど」


さわやか笑顔で二コっと笑う幸村。


そうか!男子テニス部の部長だった!


これは好都合だ!


と満足感いっぱいで思っていたら


「ちょっと幸村,この子にそんなひどい事をされると困る、だから今の話はー」


そう言いかける美香が話し終わる前にあたしは


『じゃあ!今日の放課後いいですか?!』


と割り込む。


「ちょ,ちょっとカナ!」


焦りながらあたしを止めようとする美香にニカッと笑い


『大丈夫,あたしそんなに早くは倒されないってば!』


「だからっー」


「じゃあ、今日の放課後,楽しみにしてるよ。星宮さん」


爽やかな笑顔でそう言い残す幸村。


よし!これであたしのテニス平和日々が帰ってくる!


ウキウキしながら席に戻ろうとすると



ガシッ



誰かがあたしの腕をつかむ


振り返ってみると


「...カナ、今すぐにこの試合をやめなよ。あいつらは見かけはああ見えてチャラチャラしてるけど,テニスだけは本当に手強い。本気でぶつかり合ったら痛い目にあう。だからー」


あたしはすぐにその腕を振り払った。


『...ごめん、でもあたし負ける気無いし,此処でテニスが出来なくなっちゃったら、もう一生出来ないと思う』


あたしは過去の映像を押し返そうと必死に頑張った。


そうだ。


〔アイツ〕にテニスを奪われてから、もう向こうでは出来なくなった。


だから、攻めて此処でー!


「...」


『...』


あたし達は真剣に見詰め合った。


そして深刻な空気が消え去ると,美香はあたしの状況を知るかのように、


「そうか、分かった。でもけがしてもあたしは忠告したんだから文句なし。分かった?」


皆呆然とその言葉を聞き入れた。


『あはは、当たり前じゃん。でも絶対無傷で帰ってくるんだから!』


ちょっと意地悪そうな言い方であたしは答えた。


でも周りの人たちはそれでは納得が行かないような表情であたしの反対をした


「だ、駄目ですよ星宮さん!もし、転校生のあなたに初日からけがをさせるような事を許可してしまったら...」


心配そうにあたしを説得しようと頑張る月島ちゃん。


「ああ、皐月のいうとうりだとウチも思う。ぜってー無傷は無理だって」


言い方はちょっと酷いような気がする...でも一応心配はしている様子の天野ちゃん。


男子二人の仁王と丸井はただ黙っている。


何か言いたそうだけど、まるでそれを言うのが怖いような...?


まあ、今はそんな事どうでもいいか!


あたしは皆の心配を晴らすように


『大丈夫、大丈夫!もしあたしが怪我しそうになる状況になったらあたし自身がちゃんと身を引くから。テニスやって死ぬなんてまっぴらごめんだし』


そう明るく答えても,やっぱり皆の様子は変わらない。


一体男子テニス部の何をそんなに恐れてるんだろう?


きっと〔アイツ〕に比べたら...


おっと、口が滑った。


たとえ心の中でも、〔アイツ〕の事はいっさい考えたく無いんで!


て、事で...


早速この〔恐ろしい〕部員達のリサーチをしようではないか!



....................



データは月島ちゃんから貰ったからいいんだけど...


...


何こいつら?なんか...


以上に変なプレイスタイル?!


この柳蓮司なんかカウンターパンチャー/データテニス?


これ、まだ使ってた人いたのかよ?!


あと仁王なんて詐欺師テニス?


一応オールラウンダーにもなってるけど...


な、なんじゃそれ?!


詐欺師って、〔他人をだまして、金品を奪ったり損害を与えたりすること〕、ではなかったのでは?


じゃあ、他人を騙すテニスプレイ?


ふ〜ん、ちょっとやコイツはやこしいかもしれない...


あと...あ、丸井のデータ。


何々?


サーブ&ボレーヤ


ボレースペシャリスト、か。


ん〜、ボレーを返すのはあたし結構うまいし、コイツは心配ないかな?


勿論,油断はしないけど♪


で、他の強力そうな選手は...


あ!この切原赤也!


バスで会ったし、スミにも注意された奴!


えーっと、コイツは...


なるほど...アグレッシブ・ベースライナーか。


アグレッシブプレイヤーって事ですかー。


でも,ただのアグレッシブプレイヤーなら問題はない。


けど、あのあたしのプレイレベルをあそこまで知っているスミが心配ってことは、一応結構危ない系?


あの写真も見せてもらったし...


もうちょっと読んでみよう...


...


?赤目モード?悪魔化?


これ、気になる...


〔赤目モードになった切原赤也は集中力が飛躍的に増し、パワー、スピードが格段に上がる〕


げ!これ、すごくない?!


さらに読むと...


〔悪魔化してしまった切原赤也は赤目モード以上の超攻撃テニスで、いつも以上の圧倒的な力の差が出る〕


げ、コイツもちょっと手強。


二年生の癖に...


まあ、次期部長らしいから、それぐらいは当然じゃなきゃいけないのかな?


プレッシャーがありそー...


あたしは他の選手達も次々と調べて行くと、最後に部長のデータに目を付けた。


幸村精市...〔神の子〕とも呼ばれるぐらいの圧倒的才能を持つ選手...か。


オールラウンダー


あたしは幸村の技に目を付けようとすると...


「おい星宮!」
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