体験入学 Girl
□3年後
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「パスポートは?」
『ここ』
「お金は?」
『ここ』
「携帯は?」
『手にある』
「荷物はちゃんと全部あるわね?」
『はいはいはい、ありますって』
質問の山を終えたあたしはため息をつき、それぞれの物を鞄の中へ戻した。
「じゃあ、気をつけてね。時間もちゃんと見ながら行動するのよ。あっちに着いたら、ちゃんと電話しなさいね。あと、清美さん達によろしく伝えておいてね」
お母さんは心配そうに確認する。
『分かってる分かってる。もうちょっと自分の娘を信用してよ!いざという時には電話すればいいし』
そう答え、スーツケースのハンドルを手に取り、玄関に向かった。
「カナ、そうやって油断をするのは危ない。一生家に帰って来れなくなるかもしれないぞ。空港に着いたら出来るだけ早く飛行機に乗れ。遅れるよりは早めの方がいい」
お父さんは厳しい顔で忠告してきた。
『あ〜、はいはい。二人してそんなに心配しなくてもいいのに。どうせ飛行機の外でも中でも暇なのは変わらないし。日本語はぺらぺらなんだから向こうに着いても大丈夫だし。あたしだって無事に着きたいんだからさ、無茶な事はしないって』
二人の不安の顔にニッと笑いながら靴を履き、玄関のドアを開けた。
『じゃあ、改めて行ってきま〜す!』
「「いってらっしゃい!」」
よ〜しっ!日本へレッツゴー!