SHORT DREAMS

□不二周助の彼女の話
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『お邪魔しまーーっす!』



「クスクス、相変わらず元気だね」



あたしは自分のはしゃぎぶりに笑う男、不二周助の家に上がり、彼のキッチンテーブルへ向う。さっさと椅子に座り、すぐに


『お腹空いた〜。なんかオヤツない?』



と、食べ物を求めた。今日はお昼が少なかったから空腹感がハンパない!




「クスクス、君はいつも色気より食い気だね。分かったよ、ちょっと待ってね?」



『はーい♪』



うん。やっぱ持つべき人は料理出来る彼氏だよ!



あたしは期待感満々で、周助の手料理を想像しながら、キッチンテーブルで待っていたけど...















『遅い!お腹空いた!何か食べてやる!』



空腹限界のあたしは我慢出来ず、椅子から飛び出した。こうなってはもう遅い!すぐに身近にある物から食べられる物を探し始めた。わずか5秒経過、あたしは部屋の隅の棚にちょこんとおかれた紫のボコボコした、明らかに怪しいフルーツを手に取った。




『えーい!怪しいけど棚にあるって事は毒じゃないよね?いっただっきまーす!』






ガブリ


















『...しゅ、しゅっぱーーーーーーーーい!ひゃにひょれ?(何これ?)』



その場の勢いでがぶり付いた果実はとてつもなく酸っぱかった。いや、コレは酸っぱい程度ではない。それを越えた味だ。



酸っぱすぎてヒリヒリする舌をなんとかしようと騒ぎ始めたあたしに気が付いたのか、後ろからドタドタと周助の足音が聞こえて来る。



「一体どうしたんだい?!」



『ひゅ、ひゅーふへー!!(しゅ、周助!)』



パニクりながら舌と怪しい果実を彼に見せれば、周助は納得した様に頷く。そして、



「これは...








僕が庭で育てたヴェノムピーチだよ」



『ひぇ?(え?)』



急に深刻な表情であたしの顔を見る周助に、思考が止まる。



ゔぇ、ゔぇのむって...



「そう...これは猛毒果実なんだ」



『!!!!!』



えええぇえぇえぇぇぇえぇ!!!???



ちょ、ちょっとちょっと!冗談だって言ってよ!なんでこんな危ない物をお腹の空いた彼女の届く範囲に置くの?!てか、毒草好きな周助が言うと冗談なのかさっぱり分からない!しかも、未だに心配した表情で考え込んでるし!!!



「でも、解毒があるから安心して。すぐに持って来るから」



そう言い残して、周助は急いで自室へ向かった。



舌はますますヒリヒリ感を増し、もうちゃんと話す事も出来ない。



もし、このまま話せなくなったら?



最悪の場合、死んだりするのかな?



段々と思考が悪い方へ行く中、再びドタバタな足音が聞こえてきた。



「お待たせ、コレが解毒だよ」



周助はそう言い、握っていた小さな瓶をあたしに見せる。中には、真っ黒いと言っても可笑しくないぐらいの、サラサラした液体だった。コレを飲めば、このヒリヒリ感も無くなるの?!



とりあえず、他の術は思いつかないので、液体の方へ手を伸ばし、早速フタを開け飲もうとしたその瞬間、ふと変な文字に気が付いた。



『...』



「ほら、早く飲んで」



『...』



何も言えないとはいえ、あたしの思考はちゃんと周助に伝わっているはず。そう、瓶の外側にくっきりと書いてあるこの文字に。









媚薬。








『...』



「フフフ、バレちゃったかな。実は、その果実、ただの痺れ果実なんだ」






...は?





いや、これはバレたというか、なんて事をするんだ。君の育てた猛毒果実を食べてしまった彼女に、媚薬をあげるなんて。しかも思いっきり嘘だったんだ。痺れ効果のある果実...そんなの育てないでよ...



『ひへ(死ね)』



周助のことだから、多分一度死んでもまた生き返られるんでしょ?だからいっぺん死んでちょうだい。



「クスクス、照れた君も可愛いね。じゃあ、痺れ効果が切れる前に、たっぷり人形状態の君と楽しい事しちゃおうかな♪」




『†¶∫•º∞¡§º§ƒçßç˚Ω†ø•Œ!!!』



こうして、あたしは期待していた美味しい料理はお預けされ、その代わり、周助に美味しく食べられたのも、言うまでもない。







不二周助の彼女の話
(もう周助なんかゴキブリになっちゃって、誰かに思いっきり潰されて死んじゃえ!)
(クスクス、君の愛情表現って、面白いよね)
(人の話聞いてる?!)



*ちょっと下ネタでスンマセン...
 

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