体験入学 Girl

□さてと、そろそろふざけますか
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「ハッ!」



球を打った。ボールは金髪人の顔のすぐ横を通り過ぎて、後ろに直撃する。勿論、コート内に。



金髪君(金髪人はやっぱりちょっと失礼だから)は未だに状況を掴めていない様子。多分、女(?)の技で点を取られた事がショック何だと思う。へっへー、ざまーみろ!♪



すると











ドクン










『!』





急に頭が熱くなった。目眩もするし、息がしづらい。幸い目の前にはフェンスがあるもんで、あたしの手は自然とフェンスを掴む。クラクラするから、あたしはちょっとしゃがむ事にする。




この異変に気が付いた切原は急いであたしの元へ駆け寄って来る。



「オイ、お前大丈夫かよ!?」



けど、声がうるさくて頭の中がジーンと痛む。



『う、るさい...ちょっと目眩がするだけ...だから、人の耳にガンガン怒鳴るな...』



精一杯の力で振り絞った声。頭はまだ痛む。更におかしな事に...




『...ット...』



「?」



小さな声に耳をすます切原。




『ラケット...ちょうだい、早く...』



なぜか無性にラケットが握りたい。早くグリップテープの感触に触れたくてしょうがない。



「え、ラケットって...俺のでいいのか?」



『いいから!もう早くちょうだい!』



ビックリした切原は直ぐあたしに自分のラケットを渡してくれた。



握った瞬間、あたしの頭は痛みから解放された。しかし、気が付けばあたしは仁王の方へ向かうテニスボールの前に位置に着き、さっきの技を




バーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!





完璧に打ちこなしていた。



しばらく誰も、何も言わなかった。



最初に声を発したのは切原だった



「...記憶が...もどったのか星宮?」



あたしも正直、まだ分からない。この技が今打てたのは確かだけど、他の技は?ボレーは?サーブは?スマッシュは?いまのはグラウンドストローク、コートの後ろから打つ技だった。



とりあえず、あたしは



『そう...みたい...一応...』



と、答えた。



従って、試しにちょっと金髪君にラリーを頼んでみた。



彼は不意打ちの頼みに戸惑ったけど、OKをくれた。



ちなみに、サーブ権はあたしにくれた。



正直緊張したけど、とりあえずありがたく頂いた。



ベースラインに立ち、あたしはちょっとしゃがんでは、ボールを高くトスする。此処までは大丈夫みたい。




そして頂点を達成したボールを...






















ポス






























...



悲しい音を奏でた。



更に、ボールの行方は...



「あ、アウト...」



...




ありがとう切原赤也君。誰だって観れば分かる事を発表してくれて。



そう、ボールはたった2メートル前の位置に落ちていた。勿論、あたし側のコートである。



『...』



「「「....」」」



凄い沈黙。たぶん、皆凄いサーブを期待していたんだろうけど...



残念な事にネットの上も越えなかった、悲しい事になりました。うん。



『あ、アハハハハ...すみません...こんなお恥ずかしい姿を...アハハハハ...』



「...プッ」




『...!』



あれ、今誰かが吹いた...?




「フ...アハハハハハハハハ!!!!や、ヤー面白いな!キサヌ迫力ヤマーンカイ行ったんだよ?」



『...何を言っているのかさっぱり分かりませんが、バカにされている事は分かるよ、うん』



この金髪人(うん、こっちに戻りました)!!!分からない方言で話しやがって!



「お前面白いな。さっきの迫力は何処に行ったんだよ、と彼は言っている」



『うわっ!柳君じゃん!』



いつの間に?!



「気が付かなかったのか?星宮があまりにもはしゃぐから、合宿全体がこちらに集まったぞ」



『...え?』




恐る恐るコートの外を見ると、



『ホントだぁぁぁぁぁ!!!!!!』



何十人もの選手達が集まっていた。中には女子のマネージャーさん達も。



え、い、いつの間に...?



「あんな凄い音の打球を聞いたら、誰だって見に来るだろ、星宮」



『げ』



幸村まで...



ん?




『ワーイワーイ、ユキムラサマダァ!ウーレシーイナー』



完全棒読みでしたがドンマイ!









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