十六夜恋奇憚
□4、身体で覚えるタイプです!
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『ーッだぁあああ!無理!私には無理ッ!』
ホールに響き渡る声。
私の目の前には大量の本(主に魔法書)が山の様に積まれていた。
『あの陰険鬼畜メガネ〜ッ!』
あれは時を遡ること数時間前・・・。
・ー・ー・ー・ー
「それでは渚、これをどうぞ♪」
ジェイドは嫌味な程の笑顔で大量の本を私に渡した。
『煤[ッお、重ッ!何この本の量?!』
一番上の本のタイトルには“サルでもわかる易しい魔法書”と書かれていた。
え?
なんで読めたかって?
それは企業秘密で。
『何ですか・・・これ・・・』
「いや何・・・貴女は多少の護身術と基礎的な剣術くらいしか使えないでしょう?
なので私が本国から速達で貴女の頭でも解るような魔法書を手配したんですよ♪」
陰険鬼畜メガネはこれまでにないくらい笑顔で貶す。
『・・・・・・・・・へぇ(ヒク)』
多分今の私の顔はジェイドに対する苛立ちで顔が引き攣っているだろう。
「貴女には少しでも・・・微弱ながらでも魔法を使えてもらいたいので、今度のデモンストレーション迄に基礎的な魔法を使えるようにして下さい」
『・・・・・・は、はぁ?!デモンストレーションってあと少しじゃん!
それに私この世界に来たばっかで・・・』
「だからこそ、それくらい無理にでも覚えて下さいと言う事です!」
『・・・・・・ーッ!』
こ、この陰険鬼畜メガネ〜ッ!
「それでは私はリフィルと打ち合わせがあるので」
ジェイドはメガネを掛け直しリフィルの居る科学室へと向かった。
そして今に至る。
『ぬぅわぁああ!もう無理!こんなの無理ムリッ!』
ノートに工程式やら魔法陣やら書き込んでるが、体内にマナのない魔力0の私が魔法なんて使えるかっての!
「どうした?ジェイドを見返すのでは無かったのか?」
「全く・・・僕は論文があるってのに・・・」
本を片手にメガネを掛け直す親バカ傭兵クラトスと青髪学生のキール。
ジェイドがホールを去ってから入れ違いに入って来たところを捕まえ魔法の勉強を頼み込んだのだ。