BASARA
□朱水と涙珠(あかとあお)
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「 アイツを判ってやれるのは、もうアイツしか居ねぇんだ 」
すると、部下はこう言った。
「 アニキらしくないっス 」
そう言われ、元親はその隻眼を見開く。
「 俺らだって、アニキに出逢うまではずっと自分を理解できるのは自分しか居ねぇって思ってました。けど、アニキは、どんな奴であろうと関係なくその手を差し伸べてくれた…!それだけで、俺達は救われたんです。」
「 ‥‥! 」
「 アニキは、俺達に差し伸べてくれたその手を、石田さんには差し伸べてやらないんですか? 」
部下は元親の瞳を真っ直ぐ見て、そう言った。
元親は自分の右手をきつく握りしめた。
「 ありがとよ。おかげて目が覚めた。」
「 アニキ…! 」
「 ちょっと、石田の様子を見てくる。その間は任せたぜ。」
「 わっかりやした!アニキ! 」
部下は明るく返事をした。