BASARA

□醜い黒、醜い赤
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「 嫌だ…。ぇやす‥‥。いえやす… 」

大粒の涙を流しながら、三成は家康の亡骸を抱き締めた。

「 …家康はもう居ねぇ。アンタが殺した 」

元親は先程とは全く違う、低く暗い声で言った。

「 ちが……私は… 」

「 違わねえ!家康はアンタが殺したんだ、石田三成!!現実から目を逸らすな! 」
元親は怒鳴った。だが、心の内では元親は自嘲していた。
(最低だな、俺。自分の嫉妬でコイツをどれだけ傷つけてんだ…)

「 ひぐ…ぅ…わぁあっ…ああぁ… 」

「 石田… 」

元親は元の優しい笑みに戻った。

「 俺はお前に、もう二度とこんな思いさせねぇ。………約束する。愛してるぜ、三成 」

元親はそう誓うと、三成の唇を奪った。
強く、強く、三成の身体を抱き締めた。


しかし、その声もその温もりも、三成には届いていなかった。





―家康はアンタに失望しか与えられなかった。だが、俺は違う!俺は…俺が石田の太陽(ひかり)になる……!









たとえそれが只の醜い黒に染まった嫉妬の炎だとしても。

醜い赤の血に染まった彼を包もう。








それが“アイ”なのだろう。








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