BASARA
□困ったさん
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時は戦国―
地は、乱世。
数多の群雄が割拠する中、日の本を武力によって掌握せんとする、
天下に最も近い豊臣秀吉。
彼が従える十万以上の兵士達―
まさに最強を誇る豊臣軍!
これはそんな豊臣軍の貴重な日常を描いた物語である。
摂津、大阪城。
そこは、豊臣秀吉の居城にして豊臣軍の要ともなる場所である―
そんな大阪城に、情けのない声が響いた。
「 なぁ、なぁ三成ィ。お前はなんでそんなに頑ななんだ? 」
とある部屋の前で障子越しに話し掛ける男の名は徳川家康。
そして、障子越しに“三成”と呼ばれた人物は苛立ちを隠そうともせず家康に言った。
「 黙れ家康ゥ!何故私が貴様などの言うことを聞かねばならない!! いい加減くどいぞ! 」
「 とばっちりはよしてくれよ。元は三成の自己管理がなってないからワシがこうして言いに来ているのではないか。」
「 ‥‥ッ 」
「 だから、頼むから飯をくってくれ! 」
家康にそう言われ、三成は押し黙った。
そう、三成と家康が散々言い合っていたのは、食事が原因であった。
三成は普段、殆ど食事を口にしない。食べたといっても一口分程度なのだ。
それを憂いた女中や三成の家臣が家康に頼ったのである「どうか三成様に食べることの喜びを教えてやって下さい」と、