BASARA
□化楽の猫
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「さぁ、おいで。怖くなんかないよ」
私は招く、招き猫。
藍の瞳に黒の毛を持つ子猫。
月が照らす夏の夜に、『おいでおいで』と手を招く。
凶を不幸を死を招く。
みんなみんな朽ちてゆく。あぁ私は死神(まねきねこ) 愛しい者も、愛しい物も、みんなみんな消えていく。
黒く染まったこの髪は
地獄(そこ)まで続くように長く伸び
汚れを知らぬ藍の瞳は
赤が舞う度鈍色(にびいろ)に。
狂いて堕ちる。どこまでも。
『まだ足りない』
誰かが言った。
『もっと狂え!!もっと、もっと堕ちろ!』
「オイデ、オイデ」
私は招く、化楽の魔(まねきねこ)。
気ヅイタ時ニハモウ遅カッタ。
堕ちて堕ちた、この心。
いつしかどこかへ消えてった。
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