Avenir-みらい-
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「うーん!海の上って気持ちいいー!ねぇカロル、ノードポリカまでどれくらいかかるの?」
「まだしばらくかかると思うよ」
「ちょっと、そんな呑気なこと言ってらんないわよ。魚人の群れに会うかもしれないってのに」
フィエルティア号で海を進んでいるあたし達は、次の目的地『ノードポリカ』を目指していた
船を進呈する代わりに、魚人退治をして欲しいという、ギルド『幸福の市場』の社長カウフマン達と、フィエルティア号の操縦をしてくれるトクナガも一緒だ
雑談をしている中、大きく船が揺れた
「来たわね」
「皆さん気をつけて!」
カウフマンとトクナガの声を聞きながら、武器に手を添えて戦闘準備に入る
すると、魚人の群れが甲板の上に上がってきた
は…初めて見たけど、やっぱり気持ち悪ッ!
「ちょっと…波酔いしたのじゃ…」
「ねぇ、魚人って喋れんの?!」
「そんなわけ…!」
エステルが小さい声でボソっとつぶやいた
「もしかして、あの魔物と同じ…」
「喋ってると舌噛むぜ!」
あたし達は、一気に魚人の群れに飛びかかった
…☆…
「円閃牙!! …これで、最後かな?」
「紗紅ちゃん、戦いに慣れたわね〜。しかも完全に青年の危ない剣の使い方」
「危なくないよ?これ、結構楽しいし♪」
そう言って、宙に剣を舞い上がらせ、まるでバトンを操っているような素ぶりで鞘に収めた
「おっさん…可憐な紗紅ちゃんがいい…」
「可憐って…。一番あたしに似合わないよ;」
そんな中、倒したはずの魚人一匹が立ち上がった
「まだ生きてます…!」
「い"っ。気持ち悪〜〜ッッ!」
襲いかかってくるかと思いきや、何やら口から吐き出した
それは、金髪で青い服に身を包んだ、まだ幼い少女であった
あれ、この子って確か…
「パ、パティ…!!」
「快適な航海だったのじゃ………」
「魔物に飲まれてて、航海も何もないだろ…」
「む?そこの人は始めまして、じゃな?」
紗紅に気がついて、トコトコと近寄ってきた
手を差し出し、ニコニコしながら挨拶をしてきた
「うちはパティ。冒険家なのじゃ!」
「あたしは紗紅。よろしくね」
「うむ!」
か、可愛い!
絶対将来は美人さんだよ!
あたしが保証するわ!←
「…なんでもいいけど、このまま船出していいかしら?」
「ああ、頼む」
「うわぁああっ!!」
「「「「「「「!?」」」」」」」
叫び声を上げたトクナガを見ると、一匹の魚人に襲われてた
ちぃッと舌打ちをしたユーリは、鞘から剣を抜き出して、最後の一匹を簡単に仕留めた
だが、トクナガは負傷してしまった
「トクナガさん!! …ファーストエイド!!」
「うっ…ありがと…ございます。紗紅さん…」
「当分、安静にしていた方がいいですね…」
トクナガの様子を見たカウフマンは、腕を組んで嘆いた
「困ったわね……あなた達の中で誰か操船できる人……いるわけないわよね」
「うちがやれるのじゃ」
「パティが?」
「世界を旅する者、船の操縦くらいできないと笑われるのじゃ」
じゃあ、お願いするわ。とあっさりと言いのけるカウフマンに周りは不安だ…という空気に包まれた
「それと、寄り道しても構わないわよ。進路はある程度、貴女に任せるわ」
「船があるなら、どこへも行きたい放題ね」
「途中に、リゾート地みたいなのないの?カロル??」
「何言ってんだよ紗紅〜。のんびりしてる時間はないんだよ?」
カロルに注意されて、う"…と気分を落とす
ですよねー…あははー…
「まだ始めたばっかだし、もっと余裕持ってこうぜ。カロル。まぁ、流石にリゾート地は無理だろうけどな」
「う、うん」
「むー…。なんかないかな〜」
完全にアウェイな考えよ、この子。とリタがツッコんでいたのは、聞こえなかったことにしようか!うん。
「とりあえず、レッツゴー!なのじゃ!」
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