Avenir-みらい-
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宿に向かおうと決めて数分歩いたところでカプワ・トリムに到着した
トリム港に入ってすぐの宿をとり早速話しを始めた
「では早速、事情聴取を行う」
「あ、あの〜…レイヴン??」
疑問的な眼差しでレイヴンを見ているエステルが思わず声をかけた
「どうしたんです?? なんだか雰囲気がいつもと違うような…」
「こーゆーのは雰囲気から入るのが常識で、重要なのよ☆」
「…あんたらねぇ〜;;;」
リタが頭を抱える
なんだか…緊張していた自分がアホらしいような気がしてきた…;;;
コホンっと一つ咳ばらいをしてカロルが口を開く
「えっと、紗紅…だっけ? 年齢と職業は?」
「17歳で、学生です」
「じゃあ出身は??」
「…えっ…と…その…。信じてもらえないかもしれないんですけど」
一つ深呼吸をして目をゆっくりと開ける
「この世界じゃない…全く別の世界の人間なんです」
……言った
あたし以外の周りのみんなは頭の上に「?」が浮かんでいるようであった
まぁ、そりゃそうだろうけど
「何処か変わった所は…なさそうね」
「可愛いべっぴんさんだわね〜vV」
「レイヴン…話し…それてるよ;;;」
そうだよね
見た目だけじゃ解らないし…何か証明できるものないかな
………あ、そういえば…
「あの、あたしの鞄知りませんか?? 黒い革の…」
「もしかして…これか?」
ユーリが差し出したのは黒い革製のスクールバッグ
持ち手の所に大きな赤いリボンが着いている…
間違いなくあたしの物であった
「それ!! ありがとうございます」
「一緒に持ってきてよかったぜ」
「それで…その鞄に何があるんです??」
「えっと〜…あ!!あった♪」
ガサゴソと鞄の中をあさって取り出したのは……………スマートフォン
最新のスマートフォンで、カメラ機能と音楽機能が特にすぐれている
蒼いパールが着いた十字架のストラップが目印
「これは『スマートフォン』というあたしの世界の機械で、これ一つで電話、文通、写真を撮ることや音楽を聞いたりする事もできるんです」
簡単に説明すると真っ先に飛び込んで来たのはリタであった
紗紅はリタにそれを渡した
「これ…魔核や魔導器で動いていない。エアルも使っていないみたいだし……なにか他のエネルギー体で動いているの?」
「さ〜すが天才魔導師少女、研究熱心ね〜」
「小さい機械なのにすごいです〜」
みんなスマートフォンに興味津々
確かに…こんなの見せられたら驚くわ
一方、ジュディスとカロルは鞄に入っていた教科書に目を通していた
「これは本ね…あら??この文字…」
「うわぁ〜…何コレ!? 角張ってる文字がいっぱいあるよ!!」
「ジュディ、見たことあるか?」
「残念だけど、初めて見たわ。今までバウルと一緒にいろいろな場所を旅してたけど…」
「それは『日本語』といって、あたしの国の言葉なんです。カロルが言っているのは、その中でも『漢字』という種類の文字です」
この2つを見てユーリは「ふむ…」といって考え込み、そして顔を上げて紗紅を見た
「確かに、アンタはこの世界の人間じゃないって事になるな」
「信じて…くれるんですか…?」
「これだけ見りゃ、信じない訳にもいかないだろ」
まさか…信じてもらえるなんて思わなかった
驚いている紗紅を見て思わずユーリは吹いてしまった
「なーんて顔してんだよ」
「いや…信じてもらえるなんて、思ってなかったんです…」
「もう安心して大丈夫です。不安だったんですよね?」
エステルはニッコリ笑いながら紗紅の手を取った
その瞬間、始めてこの世界に来てチョッとした安堵感が生まれたのであった
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