Avenir-みらい-

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「…これでいいかな??」

「わぁ…紗紅、お料理上手ですね!!」

「じゃ、俺様が味見を〜…」

「つまみ食いしたら、おっさんの明日の飯は全部抜きな」

「Σゔ……;;;」










ユーリに釘を刺されたレイヴンは、出しかけた腕をびくつかせる










「ごめんなさい、もう少しですから…待っててもらえますか?」

「紗紅ちゃんの頼みなら、おっさん何年でも待っちゃうわよ〜Vv」

「…ったく、調子いいこと言いやがって」










凛々の明星の仲間になったその晩から、早速料理を始めた

ちなみにメニューは得意料理のほうれん草とベーコンのクリームパスタ










「わぁ、美味しそう♪」

「じゃあ早速〜…」

「「「「「「いただきまーす!!」」」」」」










皆一斉に口にそれを運ぶ










「あの…お味は?」

「ウマーい!!」











カロルは目を輝かせながら叫んだ










「ほ…本当ですか??」

「あぁ、久しぶりにこんだけウマい飯食ったな」

「お城のコックより美味しいです!!」

「よかった〜!!」










どのような評価がもらえるか不安だった

だが、皆気に入ってもらえたようであった

紗紅は安心して思わず首に下げていた自らのペンダントを握りしめた










「ずーっと気になってたんだけど、あんたが持っているそのペンダント何??」

「これ?『月光石』っていうんです」

「げっこう…せき??…始めて聞きました」










握っていた掌をそっと離す

そこにあったのは、桜色をした綺麗な石










「うわぁ…」

「綺麗だね」

「‥‥これ、魔核よ」

「Σえッ!!?」










リタの言葉に驚くしかない










「でも…普通の魔核とは違う…」

「天才魔導師少女…どんな時でも研究の二文字は忘れないのね;;;」

「当たり前じゃない」

「…確かに、この石から何かを感じるわ」










何かを感じる、といわれて、また驚く

だって…………………










「これは…幼なじみの子から貰った物なんです」

「…大切な物なんだな」

「はい!!」










あたしの幼なじみの男の子がくれた大切なペンダント

これをくれた時、彼はこう言った










――この月光石のペンダントには
  願い事が叶うおまじないが
  掛かってるんだってさ

――へ〜…綺麗だなぁ

――これ、お前にやるよ!!

――Σえッ!?
  そんな、悪いよ!!

――俺よりも、紗紅のほうが
  似合うだろうしな
  ありがた〜く受け取っとけ!!

――ありがとう…大事にする!!

――おう!!










「…その数日後、彼が交通事故に遭って……昏睡状態になってしまったんです」

「その方…今は??」

「まだ、意識が戻ってないんです。…3年間」










紗紅の話を聞いたメンバーは、そろって口を噤む










「ごめんなさい、嫌なこと…思い出させちゃったわね」










ジュディスの声にハッと我にかえった紗紅は、首を横に振った










「い、いえ!!」

「紗紅!!!!!」










いきなり隣で大声が聞こえて、皆そちらを振り返る

…カロルであった










「な…何よ!いきなり大声出して!!」

「紗紅、紗紅がこの世界にいる時は、僕達が仲間だからね!! だから…その…」

「カロル…」










上手く言葉が出てこなくてオドオドと戸惑う

そんなカロルを見て、紗紅はカロルの前にしゃがみ込んで微笑む










「…ありがとうございます、カロル」

「え、えへへ///」

「仲間…か。なら、まずはその敬語をはずしてもらうか」

「そうですね!!その方が良いと思います!」

「嬢ちゃんが言う台詞じゃないと思うわよ〜」

「Σわ、私は、もう癖がついてしまって無理なんですッ;;;」










彼等のひとつひとつの言葉が嬉しかった

見知らぬ世界から突然現れた自分を、快くギルドの一員に迎え入れてくれて

しかも『仲間』と呼んでくれた










「…ありがとう、みんな」



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