Avenir-みらい-

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「…ぅ…ん………」










私は…どのくらいの間、寝ていたのでしょうか?

確か「リド」という、少し変わった方が紗紅を連れて行くと言って…紗紅以外のみんなは、攻撃を受けて…………

そこから、記憶が....

Σ!! 紗紅はどうなったんです!?

…まさか連れて行かれたのでは!!?










「Σ紗紅ッ…「(エステル声デカいよッ!!!!)」

「(す すいませんっ…てカロル??)」

「(あら、嬢ちゃん。目が覚めたのね)」










カロルに正面から口を押さえられて、やっと周りの状況を落ち着いて見ることができた

もう既にカロルとレイヴンは目が覚めていたようだ

だが、ユーリ、リタ、ジュディス、紗紅の姿が見当たらない










「(あの…ユーリやリタはどちらへ??)」

「(…ユーリと紗紅は後々わかるよ。リタとジュディスは、紗紅の〜……スマー‥‥なんとか…? あれ探してる)」

「(そうなんです?)」










エステルの頭の上には「?」が浮かんでいるようだ

その会話が終わったと同時に、リタとジュディスが部屋に入って来る










「(あったわよ、コレ)」

「(んじゃ〜早速、青年達の部屋にっ♪)」










何故か、みんなニヤニヤとした微笑みをしている

…………………「温かい」よりも「怪しい」という言葉のほうが似合うと思うのは気の性でしょうか?

そして隣の部屋の前に移動した5人

状況が分からん嬢ちゃんが先に入った方がいいと、レイヴンが言うので、エステルがまず入る

くれぐれも大声を出さないように、と忠告を受けたので、ドアノブをゆっくりと回して、ソーッと部屋に入り込んだ











「(失礼します………)」










入って目の前にある背を向けて置いてあるソファーから覗かせているユーリの黒い髪

ドアを開けても反応がない…寝ているのでしようか?

エステルはユーリの目の前に回り込んだ










「…!‥‥‥‥これは、世で言う『いい雰囲気』ですねvV」











エステルの目に映っていた光景

腕を組んで寝ているユーリと、彼の肩に頭を預けて気持ち良さそうに眠りについている紗紅

二人とも、幸せそうな顔で眠っている











「(嬢ちゃーん、そろそろいいかねぇ??)」

「(あ‥‥はい!! 全然OKです。二人共、ぐっす〜り眠ってます)」










エステルが声をかけると、部屋の外にいた残りのメンバーも入ってくる

相変わらず、ニヤニヤしたまま

まぁ、確かにコレを知っていて、ニヤけてしまうのも頷けるが











「(よぉし、じゃあ〜リタっち!! やっちゃってちょーだい☆)」


「(こんな小型の機械、あたしの手にかかれば魔導器の研究より苦はないわ)」

「(まぁ、頼もしいわね、リタ)」












リタ得意げに言いながら紗紅のスマートフォンをイジリ始めた

その数秒後、寝ている2人の前に屈んで携帯を構えた

そして――…

『カシャッ』










「(…………………。リタ、一体なにを?)」

「(写真よ、しゃ・し・ん)」










ほら、と言いながら携帯の画面を顔の前に突き付ける

画面の中にいるユーリと紗紅

とても綺麗で鮮明な画像が映し出されていた










「(うわぁ…まるで恋人同士みたいだね)」

「(カロルの言う通り…。とても良い雰囲気です!!)」










リタはまた携帯を操作し、画面に映し出された『メモリーカードに保存しました』という文字










「(これで保存できたはずよ。文字が読めないから、きちんとなっているかは分からないけど)」

「(さすが天才少女!)」










二人は写真を撮られたことに気がついていないようだ

そんな二人が目を覚まさないように退散しようとしてドアに向かって歩きだした

…………その時










『光は影の 影は光の‥‥』

「Σうぉっ!!?」









スマートフォンから音楽が流れたのだ










「Σげッ、何なの…!!?」










リタも珍しく訳がわからないようだ

カロルとレイヴンは慌てながら辺りを見渡す










「(ちょ、しぃーーーーッ!!!!)」

「(ストップ、ストップ!!!!)」

「んなこ言われたって知らないわよ!!!」










構わず音は大きくなっている

この時、ヤバいと思うのは…他ではない










「と‥‥取り合えず部屋の外に出ましょ!!」

「そ、そうね行きましょ!!!」











そそくさと部屋を出ようとドアに向かう

あと少し、というところで事件は起きた

ブー、ブー、とバイブレーションが動きだした

その構造を知らずに持っていたリタは、思わず悲鳴をあげると同時に、スマートフォンを床に敷いてあるカーペットの上に落とした










「きゃっ!!?」

「わ、リタっ!!??」










リタとカロルの大声に紗紅の体がピクリとした

うっすらと目が開く

まだ意識が夢と現実をさ迷っているようであった










「……んっ…………ぁ…れ??」

「あ… ; お、おはようございます、紗紅」









目の前には、ふんわりとした、いつものエステルの笑顔と、凛々の明星の仲間の顔であった










「よかったぁ〜。ちゃんと回復できたみたいで……って、え??」

「........zzz」










不意に隣を見ると、規則よく寝息をたてながら眠っているユーリの姿が目に入る










「―…ッ!!??」

「…zzz」










なぜかユーリが隣で寝ていた

な…なんで!? そんな答えを出す前にエステルがキラキラと瞳を輝かせて迫ってきた










「(紗紅とユーリは、いつの間にそのような関係を築き上げたのです?)」

「(そ、そのようなって…どのような!?)」










何故か釣られてヒソヒソと話す










「(こんな関係よ)」










あっさりとした返答をしたリタは、紗紅の顔の前に彼女の携帯電話の画面を見せる

画面に映し出されたモノ、それはどこからどう見ても睦まじく添い寝をしている恋人のように見える紗紅と隣で寝ているユーリの姿

一気に顔に熱が帯始め、熱くなる









「わぁーッ!!? いつの間に人のスマホで撮っちゃったの!!?/// は…犯罪だ、犯罪ぃーッ!!」

「(Σあッ、紗紅!! ユーリが起きてしまいます!! 『シーッ』です」

「そんな余裕ないってば!!///」










そんなボケとツッコミをしてると、隣の影が動き出した










「…ん……でっけー声出すなよ、お前等……」










ビクッと体を震わせながら声の聞こえた方へ視線をずらすと、目をうっすらと開けて欠伸をしながら背伸びをしているユーリがいた











「も〜っ、紗紅の大きな声で目を覚ましちゃったじゃないですか〜…もっとラブラブなお二方を見たかったのに…」

「おっ、嬢ちゃんも分かってきたねぇ♪」










レイヴンが頷く

段々と話しが逸れてきている気がした










「ちッ、違うよエステル!! レイヴンも変なことを言わないで!!///」

「あっ起きたか、お嬢??」










不意に聞こえたユーリの声に、頭の中がパニック状態










「ご、ごごご、ごめんユーリ!!!! 重かったよね!!??///」

「いや、むしろ逆。軽すぎだっての。お嬢も使いなれない魔術やったから体に負担がかかったんだろ」










そう言いながら頭を優しく撫でた

…また、子供扱いされた??

いや、もしかしてラピードと同等でペット扱い!?

てか「お嬢」って、何!!?

なんてやり取りをしていたらリタが肩を掴んでユサユサと揺さ振る










「ねぇ、魔術を使ったってどういう事??? 紗紅の世界は元々魔術が使えないんじゃないの!!?」

「あわわわッ、リタ田太たtaッ!!??」

「リタ!! 紗紅の首が飛んでいっちゃうよ!!!」










カロルが慌ててリタの止めに入り込む

確かに、紗紅の元の世界は『魔術』なんて架空であり、歴史上では衰退したモノだと言われていた

あたし自身も、未だに何がなんだか頭がついて来ない

なんで、あたし、魔術が使えたの?

あたしが神の生まれ変わりっていうのが関係しているの?

――アタシハ、何者ナノ?





 … Next Story …







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