Avenir-みらい-

□10
1ページ/1ページ





「……つまり、言われた通りに術名を唱えたら、できたって事ね?」

「うん。それで、みんなの体力を回復させたの」










エステルたちが眠ってしまってからの内容を一通り説明し終えた

流石のリタも腕を組みながら考え込んでいる

するとレイヴンが口を開く










「でもって、紗紅ちゃんに話しかけてきた女の人ってのも気になるわ〜。美人だったんでしょ?」

「うん、綺麗な人だった」

「おっさんも会ってみたいわ〜vV」

「レイヴンがいると、話しがずれちゃうよ……」










カロルがため息をつく

確かにあの人が誰なのかは凄く気になる

でも、始めて会った気がしない‥‥変な感じ










「………紗紅、大丈夫です?顔色が冴えないような‥‥」

「あ…ゴメン、大丈夫だよエステル。ちょってボーッとしちゃっただけ」

「無理しないでくださいね??」

「ありがとう」










でも、その人のおかげで、みんなを助ける事ができたのが事実

もしかしたら……………










「…あのさ、みんなにお願いがあるんだけど……」

「ん?? どうした、お嬢。急に改まって」

「あたしに戦い方を教えてくださいっ!」










勢いよく起立して一礼をした

だが、周りからは何の反応もない

チラッと視線を上にあげると、みんな目が点になっていた










「……あの〜…みなさま?」

「紗紅は戦わなくてもいいんだよ?」

「そうそう、少年の言う通りよ」

「……ねぇ紗紅、どうしてそう思ったの??」










優しく微笑みながら、ジュディスが質問してきた

紗紅は再び腰をおろし、難しい顔で答える










「あたしは…みんなに守られてばっかりで、なんにもできない。でも今回の事で、術が使えた…みんなを、救えた…。
 これなら、少なくても自分の身ぐらい守れる…迷惑かけたくないから……!!」

「紗紅…」










紗紅は俯き、必死に言葉を発した声は震えていた

沈黙を破ったのは、ユーリの足元で大人しく伏せていたラピード

ゆっくりと紗紅近づいたと思ったら、座って彼女の手を舐めはじめた

まるで『大丈夫』と言っているような気がした










「…ラピード………」

「わーったよ」










ユーリはラピードの頭を撫でると、座っている紗紅の目線の高さに合わせてしゃがみ込む










「伝わったぜ?紗紅の本気」

「…!! じゃあ……」

「あぁ、俺が剣を教えてやるよ。自己流でいいんならな」

「全然OKだよ!! ありがとうユーリっ」










パアッと表情が明るくなり、嬉しそうにする彼女を見て、自然と頬が緩む

すると、エステルが続いてユーリの隣に並んでしゃがんだ
















「じゃあ、魔術は私とリタが教えますね」

「ちょ、エステル!? なに言って…」















いきなりの発言に驚愕する天才魔導師少女

それを気にせず話しを進める帝国のお姫様

勿論、勝ったのは………















「いいですよね、リタ?」

「えッ、あの…その…………ハイ」















姫さんだった。笑















「決定です。紗紅、頑張りましょ!」

「うん!リタも、ありがとっ」

「…べ、別にいいわよ」














交渉成立し、安堵している紗紅にレイヴンが話しかけた















「じゃあ、紗紅ちゃんの装備品とか武器を揃えた方がいいんじゃなーい??」

「そうね、明日にでも買いに行ったらいいんじゃないかしら?」










ジュディスも賛成したが、当の本人は浮かない様子










「あ、大丈夫だよ!! あたし、お金持ってないもん。服はこのままでいけそうだし、剣だって白装束の人が置いてったヤツがあるし」

「ダメよ、紗紅。こんなに大きな剣は貴方には負担がかかるわ。それに…」










ジュディスは、そっと紗紅の頬を手で包み込むように撫でた

さらに顔と顔がグッと近づく










「…!?////」

「こんなに綺麗な肌に傷をつけたらイケないわ」

「…ったく、あんまりお嬢をからかうなよ、ジュディ」










と言うよりも、紗紅と同時に周りのメンバーも目が点になっている

ジュディスはうふふッと笑いながら、手を頬から頭の上に移動させ、ポンポンと撫でた










「チョッと遊びすぎたかしら♪」

「…ジュ、ジュディス〜っ」

「あら、でも本当のことよ。私、嘘は苦手だもの。だから、きちんと服も買ったほうがいいわ」

「…わかった。ありがとう、ジュディス」

「ふふッ、いいのよ」










こうして話しはまとまり、夜も更けていたので今日は就寝することになった






… Next Story …






[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ