Avenir-みらい-

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ユーリに剣の稽古、エステルとリタに魔術を教わり始めてから、数日

旅をしながらだから、難しいかもしれないと思っていたが、意外と飲み込みがよくて、数日で予想以上の成長であった

今も、カプワ・トリムで情報収集しながら、近くの森にユーリと入り、この間購入した剣『エストック』を使いながら弱い魔物を相手に修行中である











「蒼破刃!…っあぁ!? なんで避けんの!!」

「魔物だって動くんだぜ?攻撃を喰らいに行くヤツがいると思うか??」

「…魔物でも、自分の危機は察知できるか」










そんなこといいながらも、次々と剣技が優雅かつ華麗に繰り広げられる

ユーリと同じく、ジャグリングのように宙を舞う紗紅の剣技

元の運動能力が優れているのか、数回やっただけで身についたのだ










「あと1匹…爪竜連牙斬!!」










勢いよく魔物に飛びつき、一撃で仕留めることに成功した

ふぅ、と息をつく紗紅をユーリは見ながら、少し考え込む










「(武醒魔導器なしでも、余裕で技が出せる、か…)」

「ユ〜リ〜、休憩してもいい〜?流石に疲れた〜。んで、お腹すいた〜」










真剣なことを考えているこちら側を知るよしもなく呑気な彼女のひとこと

…まぁ、難しく考えんでもいいか

そう考えながら、持ってきた荷物をあさる










「んじゃ、これ食うか?」

「うわぁ…!!これ、ユーリが作ったの?」










ユーリが取り出したのは、様々な具ざいを挟んだサンドウィッチ

いつの間に作っておいたのだろう

いただきまーす、と言いながら1つ手にとり、口に運ぶ










「…おいしい!ユーリって料理上手なんだね。昨日の夕飯作ってくれたの、ユーリでしょ?」

「得意でもないが…まぁ、下町にいた頃はよく自炊してたから、料理すんのは嫌いじゃないな」

「なるほどね〜」










ゆったりとした、和やかな気持ち

……たまには、こういうのもアリだな

そう思ったユーリは、隣でサンドウィッチを頬張る彼女に目をやる

なんだか小動物のような紗紅を見て、思わず吹いてしまった










「…んなに急がなくても、サンドウィッチは逃げねぇって」

「だって〜…おいしいんだもん」

「こんなんでよければ、いつでも作ってやりたいんだが……………」










そう言うと、ユーリはスッと立ち上がり、自らの剣を手にとり、紗紅を後ろにかばう

ユーリ?と不安に曇る紗紅

彼の背中越しに様子をうかがうと、木の影から、先日襲ってきた白いスーツの男たち――月雅一族――が出てきた

ザッと見て10人ぐらいであろうか










「見つけましたぞ、紗紅様」

「さぁ、我々と共に参りましょう」

「………っ!!」










後ずさりをすると同時に全身に悪寒が伝わる

嫌だ‥‥‥こわい‥‥!!!

思わず、目を伏せる










「諦めの悪い奴らだな。悪いが、あんたらの言う通りにはできねぇ」

「ならば、力ずくで連れていくのみ!!!」










男たちはユーリに狙いを定める

ユーリも戦闘体勢に、と行きたいが紗紅を守りながら1人で10人の相手をするのは難しい










「(‥‥どうする?こいつを傷つけずには、ちとキツイな‥‥)」

「‥‥あたしなら大丈夫だよ、ユーリ」










その声にそって後ろにいる紗紅を見ると、自ら剣を構えている姿が目に入る

ユーリを見上げた彼女はニッと笑う










「このためにユーリ先生に習ったんだもん。大丈夫」

「‥‥‥‥‥。」










正直なとこ、まだ戦闘させる訳にはいかないと思っていたが、この状況ではやむを得ない

ユーリも笑みを返す










「‥‥ヤバくなったら言えよ」

「頼りにしてるよ、先生。‥‥‥悪いけど、あんたらと一緒に行くつもりわない」

「わがままは、ここまでです。ルミナス様の生まれ変わりだからといって、容赦はしませんよ?? …掛かれ!!」










1人の男の言葉と同時に、両者の足が地面を蹴った




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