短編
□PAЯTNЯ
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ポツリポツリと雨が振っている山林の中
聞こえているのは雨の音ではなく、男女が揉めている声であった
「何故お前はいつも後先考えずに行動をする!」
「結果的に依頼のモンスター討伐したからOKじゃん!」
「毎回結果オーライになんていかないんだぞ!?」
「みんなやられずに済んだんだからいいの!!」
口喧嘩を繰り広げているのは、リオンとルウナ
今回、任務で山林にいるモンスターを討伐することになり、スタン、ルーティ、リオン、ルウナの四人で行くことになった
考えずに進んで行ったルウナは、見事にモンスターの群れに遭遇したのだ
すぐさま残りのメンバーも駆け付け、モンスターを撃退したのだった
「まぁまぁリオン、依頼のモンスターを倒した訳だからいいんじゃないか?」
「スカタン!ルウナに何かあったら遅いじゃない!!」
「でも、ルウナってリオンの護衛なんだろ?メチャメチャ戦えるし」
「実際は『護衛』じゃなくて『側近』ね。念のためって言われて、剣術は幼い頃から叩き込まれてたから」
あたしの家は代々、リオンの家に仕えている
そのため、リオンのことは小さい頃から知っていて、世間でいう『幼なじみ』という関係だろう
彼の性格、家族、本当の名前‥‥想い人も、長年一緒にいたから知っている
「ルウナとリオンは幼なじみみたいな感じなんでしょ?それで側近なんて、よくこんなヤツと付き合ってこれたわねー」
「なッ‥‥」
「そんなことないよ、あたしなんかと違って責任感あるし、今までやって来たこと、すごいなーって思う。だから、今までリオンに仕えたし、これからも仕えたいの」
素直な彼女の言葉に、リオンは頬を染めた
「不器用なだけだよね」と悪戯っぽく笑って告げるルウナに対して、「煩い」と彼女の隣で答えるリオン
仲睦まじい二人の姿をニヤニヤと見ていた、その時であった
「きゃっ」
先程から降り始めた雨で地盤が悪くなっており、歩いていたルウナが足を取られて滑ってしまった
それだけなら良かったが、場所が悪かった
ルウナが滑った先は、ちょっとした崖になっていた
「ルウナ!!」
それにとっさに気がついたリオンが、ルウナの手を掴んだが既に遅く、二人は崖の下へ落下した
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