短編

□その言葉が言えなくて。
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いつも「好き」っていう言葉が言えない















「スパーダーっ!!起ぉ〜きぃ〜ろ〜!」















朝。あたしが珍しく早く起きた時は、スパーダを起こしてあげる


でも…















「ぉわッ!? お前もっと優しく起こせよ!何も頭叩くことねーだろ!?」















女の子らしく優しく起こせない















「し…仕方ないっしょ!! あたしだって色々忙しいんだから優し〜く、ゆっく〜り起こしてる暇なんかないのッ!!」















しかも可愛くない余計な一言のおまけつき















「てめぇ…何故に俺だけそんなに冷てぇんだ、あぁ?ルカとかには普通のクセによぉ」


「そっ…そんなことないし!! 人間皆平等っしょ?」















嘘。ごめん、嘘だわ


スパーダと話すの恥ずかしくて…だから冷たくなっちゃうんだよ


子供みたいで、ごめん















「…わりぃな。ルウナは、俺のこと嫌いなんだろ? 俺鍛練に…」


「待っ…!!」















…違う、全然違うの


スパーダが…好き


「大好き」「ごめん」「待って」「違う」…何も言えない


どうして素直になれないんだろ…















「ルウナ…??」


「な、なんでも…ない…」


「そっか…じゃ、やってくるわ」















パタン






行っちゃった…


結局、何も言えなかった…















「…待ってよ」















あたしは、スパーダが出ていったドアを見つめて言う















「あたし…スパーダが好き」















いなくなった後なら何回でも言えるのに















「素直になれなくて、いつも冷たい態度とって…ごめん」















全部本心


結局あたしは臆病者で、肝心な時に素直になれなくて


この言葉も…本人を目の前にしたら絶対言えない
















「言えたら、いいのに…」















その時、ドアが開いて出て行ったはずのスパーダ本人が入ってきた















「ス、スパーダ!? どどどどうしてここに!!?///」


「マジか!?」


「…な、何が?」


「今の…話」


「Σ聞…っ!??」


「おう、バッチリな」















ぬうおぉぉおぉおおぉッ!!!!!????////


は…恥ずかしいーッ!!!!!!!!!!


人生の中で今一番だ!///















「ゔ…。あの…えと…っ///」















あたしが困っていると、一瞬にして目の前が何故だか真暗で、一気にスパーダの香りに包まれた















「俺的には…ガチだと嬉しいんだけど…?///」















スパーダの照れたような声で気が付いた


あたし、スパーダに抱きしめられてる















「…っ//本当…です///」


「…!! 俺も、好きだ」


「………ッ!」















彼がもっとギュッとしてきて、あたしの首に顔を埋めた仕草が可愛くて…恋しくて


気持ちが伝わったのが嬉しくて


あたしの目から涙が溢れた















「ふぇ…っ」


「Σルウナ!? なんだよ、泣くなって;;;
(可愛いから、このままでもいいんだがww)」


「…っ…スパーダ?」















今なら…















「ん?」


「あのさ…」















言える気がする















「大好きッ!!」



― end ―


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