氷の指輪
□第7話
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バタンと戸をしめて、その場にずるずると座りこむ
(一体・・・なんなのよ・・・)
ここでようやく心からの安堵の息を吐く
ここに来てから、夜になるとずっと付きまとわれている
一体なにが目的なのかも、誰なのかも分からない
それがとても怖くて、つい先日とうとう昼間にも付けてくるようになったのかと思い、声をかけてきた彼に酷いことをしてしまった
昼間に久しぶりにあの公園に行こうと思った時に出会った男の子
私は昼間なのに来たのかと思って、手を払いのけ、さらに酷いこと言ってしまった
しかもそのすぐ次の日に学校で会った時はとても驚いた
そのうえ、彼の名前が私が探すあの人と同じで、さらに私は驚いてしまった
私の探しているあの人とは、もう10年も前に会った男の子
あの頃の私はまだ幼くて人の世界にとても興味があって、よく内緒で里を抜け出していた
私はそれから何度も里を抜け出していた
人の世界の中でも、いろいろな遊ぶものがある公園は大好きで、抜け出すたびに行っていた
あの日もいつものように一人で公園で遊んでいた
そこへやって来たのは、茶色の髪の男の子
彼は一人で遊んでいた私に声をかけてくれた
最初は警戒していたけど、彼が全く悪意があるものではないとわかったから
彼が名前を教えてくれた時は私も告げてしまいたかったけど、雪女はつがいとなるものにしか名前を教えることは許されてなかったから、言うことはできなかった
私が困っているのを見ると、何も言わずに笑いかけてくれた
彼と遊んだ時間はとても楽しくて
だからこそ、足早に時間は過ぎていく
気づけばもうとっくに帰っていなければ時間だった
私が帰ろうとすると、彼に袖を掴まれて「行くな」と引き止められるが、帰らないというわけにもいかない
そこで、私はあるものを渡した
それは、私がはじめて自分で作った氷で出来た指輪
指輪は人の世界じゃ"誓い"の証だと聞いたことがあった
だから、また会うという"誓い"を込めて渡した
それから、結局10年もの時間費やしてしまったが、こうして、またここに来ることが出来た
今も彼が私のこと覚えてくれてるといいのだけど
こうして思い出すたびにまた彼に会いたくなる
あの無邪気な笑顔を見たいと思う
私は会いたいと願うように彼の名前を小さく呟く
「リクオ様・・・」
早く彼を見つけ出してまた会いたい
私に残された時間は
あまり長くはないから・・・
to be continue・・・