氷の指輪

□第1話
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今から10年ほど前のこと
僕はどこに行くにも付いてくる護衛たちに嫌気がさしていて夜になるとこっそり抜け出して公園に遊びに来ていた



いつもは人でいっぱいの公園も夜となると人っ子一人いなくて静まり返っている
僕はそんな時間が好きだった

しかし、今日は違っていた
夜の闇の中、白く光るものが見えたのだ

(なんだろう・・・?)

近づいてみると、それは白い着物を着た少女だった
その少女がふいに振り返った

僕はその時に見た黄金の瞳に捕らわれて目を離せなくなった

その場から動けずにいると鈴の音のような声が響いた

『あなた誰・・・?』

警戒するように僕を疑いの眼差しで見てくる
僕は弁解しようと近づいくと少女はさっと体を引く

『ち、近づかないでください!!』

少女の肩がわずかに震えているのが分かって、慌てて怖がらせないように、努めて優しい声音で言った

『怖がらせてごめん。僕はリクオ。いつもこの公園で遊んでるんだよ・・・』

必死に言ったのが伝わったのか、アレコレと弁解する様子を見ていた少女がくすくすと笑いだす

『くすくす・・・もう大丈夫ですよ、ちゃんと分かりましたから』

その時少女の笑顔を始めてみた
可愛らしい声でころころと笑う様はとても可愛らしくて、忘れることが出来なかった

ひときしり笑ったあと、少女は突然頭を下げてきた

『・・・こちらこそすみません・・・怪しい人かと思い勘違いしてしまいました。大変失礼いたしました』

少女は深々と頭を下げる

『そんな、別にいいよ!!ほら顔上げて!!』


それから、僕はその少女と仲良くなって時間を忘れてしまうほどたくさん遊んだ

その中で互いに妖怪であることを知った
少女は僕がぬらりひょんだと知ると、また失礼だかなだかと言い出すので、なだめるのが大変だった
しかし、せめてと少女は僕のことを"リクオ様"とよぶようになった
少女は名前は教えてくれなかったが"雪女"であることだけ分かった

僕たちは初対面にも関わらずたくさん話して、たくさん遊んだ
もっと一緒にいたいと思った

だけど、やはり別れの時間とはやってくる

『私・・・もう帰らないと・・・』

少女が呟いた瞬間リクオは思わず少女の手を掴んでいた

『・・・リクオ様・・・?』
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