頂き物

□僕のそばに居ない君…(前編)
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僕の隣には君が居て当たり前だった…

夕方、まだリクオが夜の姿になっていない頃。
つららが突然リクオの部屋にと訪れた。

「リクオ様、つららです」
障子の外からつららの声がした。
リクオは手を止め
「良いよ、入って」
優しい口調でつららを部屋に招いた。
つららは「失礼します」と言って障子を開けた。
リクオは
「どうしたの?」
尋ねると、つららは思い詰めたような、でもどこか決心しているような瞳で

「私、強くなりたいのです。リクオ様をちゃんと御守り出来るような…強い雪女に…」

側近なのに、守られて役に立たない自分が嫌いになった。
リクオは
「つららは十分強いじゃんか。僕だって守られてる」
確かに側近として力を持っているつらら。
それが認められてるからこそリクオの側近に選ばれたのだ。
護衛として申し分ない力を持っているのにどうして。
とリクオは問いかけた。つららは
「まだ、弱いです!母様のように、強くなりたい…リクオ様!私に少し時間をくれませんか?」
突然言われリクオは
「それって、さ修業する時間…?」
「はい。宜しいですか?」
「…っ…」
それは自分が弱いから、とリクオは自分を責めたい気持になった。
まだ、言われて直ぐに答えなんか出やしない。
リクオは

「明日まで考えさせて、明日の朝まで」
つららの目が見れなかった。
情けない自分、まだ弱いと思った。
つららは
「はい、ではまた明日…」
つららはスッと立ち上がって
「失礼しました」
と声を掛け、障子を閉めた。

(どうして、つららが?僕が弱いから…つららが側に居なくなる…?考えた事無かった…いや、考えたく無かった…!!本当は嫌だ。でもつららの希望だ。叶えたい、だから答えは一つ…)
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