おお振り(小説)
□‐その理由‐
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…水谷文貴。やつの名前。
水谷はいつもヘラヘラ笑ってる。思った通り、そんなに野球は上手くない。
「泉ー!」そう呼ばれて、水谷の顔を見る。今までは自然と髪の毛を見ていた。いつの間にか、へらっとした笑顔に目が行くようになった。
「何?」
「ねぐせっ ヒドイよー?」
そう言って頭をぽんっと叩かれる。
「いいよ。別に…。」
「泉さー髪伸ばすの初めてなんだってね!」
「えっ誰に聞いたの?」
「んー?
浜田さん」
あぁそりゃそうだ。浜田くれーしか知らない事だ。
「なんで伸ばそうと思ったのー?」
へらっとした笑顔…。
髪を伸ばし始めた理由…
オレの好きな人が髪が長くて、綺麗だと思ったから。
それは、誰にも言えない秘密の理由。
‐end‐