おお振り(小説)
□‐その声で‐
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「三橋…!」
…みはし。阿部くんはオレのことを『三橋』と呼ぶ。
‐その声で‐
最初は嬉しかった。
だって『三橋くん』より『三橋』の方がいいでしょ?
でも、それじゃあダメなんだ。
みんなオレのこと『三橋』って呼ぶんだもん。
それじゃあ特別っぽくないでしょう?
オレは阿部くんの特別になりたいんだ。
だって‥す…好きだから!だから、『レン』って呼んでほしい。
そうすれば、きっと、オレも阿部くんのこと、榛名さんみたいに…!
『隆也』って呼べるはずだから。
その声でオレのこと『レン』って呼んでよ。
end