情熱の扱い方〜前編〜

□IDレンアイ注意報
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緊張する。

なんでこんなことになっちゃったんだろう。

夜だし、暗いし、それに・・・・・・。

「ユーレイ、あのね、」
「ユーレイじゃないって。」

それに・・・・・・高いし!!

「私、もっと頭の中を整理したいの。」

私の体は斜めっている。
ユーレイも隣で斜めだけど。
だんだん高度が上がっている。

「頭をスッキリさせたいって言ってたじゃん。」
「言ったけど、こういう方法じゃなくて!」

私は話すと言うより、叫んでいる。
それでも、声が風に流される。

こういう高いところって、嫌いだ。

まだ、上がるんだ・・・・・・。
カッカッカッカ・・・・・・という音がしている。

「ロジックで整理したいの!」
「無駄だって。」
「でもポイントとしては、み、みみみみ3つ・・・・・・だし。」
「メイコサン、ほら見て。テッペン!」

わ、分かっておる!

ひ〜〜〜〜〜〜・・・・・・。

落ちる!
高速落下。

レールの上を滑り降りる。
しかも、疾走。

「・・・・・・!!」

周囲からは悲鳴なのか、歓声なのか分からない大声が上がっている。
でも、私は叫べない。
叫べる程の余裕なんてない。
目を開けた方がいいのか、瞑ったほうがいいのか・・・・・・。

そうです。
私はユーレイと、私の大嫌いなジェットコースターに乗っているのです。

・・・・・・アリエナイ。

もう。

真っ青。

なんで、こんなことに。

ちなみに、ユーレイの正体はシュウ君。
日下部君か澤村君が結婚式の二次会に呼んだのかな。
二次会から逃げ出して、会場から出た道すがら捕獲されたし、この子のスーツ姿なんて初めて見たし、一連の騒動も確認済みのような発言するし。

さっきまで『好きならなりふり構わず戦え』と言って、私を会場に戻そうとしていたくせに。
お脳の中身をスッキリさせて、整理整頓するのが先と言ったら『オッケー』って。

オッケー?

何がオッケーだよ。

いきなりタクシーに乗せられて、海に程近い、子供たちの楽園的テーマパークに連れてこられた。
それでいきなりジェットコースター?

アリエナイ。

ジェットコースターは大嫌い。
大人たちよ、未来を背負って立つ子供たちに何を与えているんだ。
親の恩は子に返せって言うじゃないの。
仇で返す気か。
子供たちよ、大丈夫なのか?
こんな殺人的乗り物によく乗ってられるわね。
おばさんは心臓が持ちませんよ。
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