情熱の扱い方〜前編〜

□お局とアネゴの違い
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「ミヤノイちゃ〜ん。ちょっと〜。」

部長が呼んでいる。
やっと仕事が終わった、と言うのに、まだ何かあるのか?
盲腸人間か?
また、あの盲腸人間がやらかしたのか?
だとしたら、絶対拒否ってやる。

やっと身辺が落ち着きつつあると言うのに。

最近、私の身辺はおかしい。
ゴールデンウィーク以来?
理由はふたつ。

おかしいこと、その1。
澤村君の豹変。
私もものすごく困惑している。
もちろん、悪い気はしない。
でも、私、きっと美化されていると思う。

次に澤村君に会ったら、なんて言えばいいんだ。

あ〜あ、まさか三十路でこんなことになろうとは、学生時代は思いもよらなかったよ。

「すみません!帰ります!」
「まあ、待ちなさい。アナタも、セクハラ経験して大変だったとは思うけど、その傷ももう癒えたでしょう?」
「はあ、まあ。」

部長は意外にも、近くに来ていた。
ていうか、盲腸人間がやらかしたわけじゃなさそう。
なんの話だ。

「大阪のセールスエンジニアの鈴木君、こっち来てるんだけど、一緒に食事でもどう?」
「予定アリです。」
「え!?彼氏!?」

部長、それは、セクハラなんですよ?
まあ、あなたがほぼ女性だと思って許しますけど。

「部長、それって、引き合わせですか?私の寿退職を狙っています?」
「そうじゃないわよ。それやったら大問題ってことくらい分かってるのよ!だけどねぇ、先方が気に入ってくれてるのに・・・・・・」

おかしいこと、その2。
こんな感じの、部長からの紹介が急にガンガン来るようになったこと。
紹介されかけるのは、大概、出張で本社に来て、私が何か対応した、とか、そんなような社員。

今更モテ期なのか?
なんだか面倒。
これは石井女史に変身するしかない!

「大阪だったら、まだ続けられるじゃないの。」
「はあ、ありがたいですが、今、急いでます。すみません。」
「・・・・・・あら、そう。」

黙らせた。

今日は、大学時代の友達のキリちゃんが、飲みに来る。
もちろん、イル・チェントレ。
みんな、私の友達はイル・チェントレ大好き。
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