情熱の扱い方〜前編〜
□カマトトは神経質
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「鎌倉どうだった?」
「・・・・・・ゲホッ」
「やだぁ。澤村君と何もないわけないよね?」
むせた。
いきなりだな〜。
フミちゃんは前置きがない。
そうそう。
京都から帰った週に澤村君に誘われて鎌倉に行った。
桜を見に。
こっちは後輩君について聞かれるかと思ったけど、拍子抜けするくらいスルーだった。
ただ、忙しかったから、すごく疲れていてすごく眠かった。
本当はあの日、1日中寝ていたかった。
でも澤村君、実はそのことを知ってて誘ってきたらしい。
意味が分からない。
知ってたら普通は遠慮するだろう。
眠くてテンション上がらなかったのを除けば特に変わったこともなく、そこそこ楽しかった。
・・・・・・以上、フミちゃんにも軽く話した情報。
もっと端折って教えたけど。
「楽しかったけど、何もなかったよ。あと、友達が結婚するから、二次会に行こうって話になった。」
結婚するのは澤村君の大親友、日下部君。
鎌倉では話題が出なかったけど、後になって電話がきた。
『日下部にさ〜、宮井さんに会ってるって言ったら、二次会だけでも連れて来いってうるさいんだよ。行けそう?6月のあたまの日曜日。』
1ヶ月以上先の話だし、とりあえず、行くとは言っておいた。
彼も医者。
学生の頃はスキーとか一緒に行ったこともあるし、ことあるごとに友達の扱いをしてくれた。
「でも、今日はその話がしたいんじゃなくてね、」
「そうだったよね、質問があるって言ってたねぇ。」
少しだけフミちゃんの近くに寄る。
フミちゃんはボケボケしているけど、今年の秋に結婚する予定で、私にとっては恋愛の大先輩。
「顔のうぶ毛の処理ってどうしてる?」
・・・・・・あれ?
瞬きもせずに固まるフミちゃん。
「それが一番聞きたいことなの?」
「うん・・・・・・。」
「うぶ毛用のカミソリじゃなくて〜?あとは電気屋さんでシェーバー売ってるじゃない?」
「そうじゃなくてね・・・・・・」