情熱の扱い方〜前編〜

□新月にお願い!
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どうしてなんだろう、この吐き気は。

・・・・・・じじぃめ。

ハメやがったな。

『この日は予定入れるな。Gホテルまでとりあえず行ってくれ。』

じじぃとは言っているが、この場合のじじぃ=父だったりする。
きれいな恰好させられて、なんだっけ、とか思っていたら、これだ。
このお話だって母にお断りしてもらうように頼んだのに!

今日は土曜日。
私にとっては貴重な貴重な休日。
それなのに、この吐き気。
そしていつも頭痛を伴い翌日も体調は回復しない。
これじゃ、週末丸つぶれだ。

体調が悪くなったのはお見合いのせい。
相手の言葉はいちいち気に障った。

『お菓子作りが趣味で、将来はカフェを開きたいとお聞きしました。』

『母のブティックはスペースが広いので、そこで一緒にやりくりしていただいてもいいですよ。』

うち以上の資産家の長男。

お見合いって何回目だっけ。
いい加減慣れてもいいのに1回のお見合いに付き、頭痛か嘔吐かその両方がもれなく付いてくる。


今回の相手は父の知り合いのツテで引き合わされた、資産家、結婚歴ナシの39歳。
可もなく、不可もなく。
悪くはないのに結婚歴がないのは、こういう代々の資産家に結構多い。

真面目に育てられて大人になって、親戚になるのにふさわしい家の娘を選んでいたら、選びすぎてこの歳になってしまった、という具合かな。
でもこれも、親のため、家のため、仕方ない。
・・・・・・と割り切るよう頑張らないと自分が参ってしまう。
きっと私も奴も同じ思考回路だ。


でも、参ってしまうと分かっているのに、どうしても嫌な気分は払拭できない。
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