情熱の扱い方〜後編〜

□とんびに油揚げ
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「へ〜♪シュウ君、あの宮井屋敷に侵入したの!?超カッコイイ〜!」
「あの塀、楽勝らしいよ。セキュリティ、問題かな。やっぱり何か対策取ったほうがいいのかな。」
「やめときなよ。そのうち、部屋に侵入してくるんじゃないのぉ〜?楽しみだね!くふふふふ。」

やっと、日曜日。
今日はシュウ君に普通に会える。
シュウ君との待ち会わせまでの間、ヘアサロンに行っていたフミちゃんを捕まえて元町でランチ。
フミちゃんは、クリームに近い色だった髪が真っ黒になっていて、なんだか別人。
神前式に備えて貞淑になるとか言って。

でも、見た目だけ。

印象はかなり堅実そうな、貞淑そうな印象になっているのに、しゃべらせてみると、いつも通り。
髪とのギャップもあるのか、はじけすぎじゃないかな。
私に対して、きゃぴきゃぴと質問責めをしてくる。
根堀り、葉堀り・・・・・・。

「いいなぁ。海辺の駐車場で初キスで?敷地に侵入されて密会?ロマンチック♪」
「初キスは逗子のほうだよ?シュウ君の友達の家の庭でね。」
「聞いてないよ〜!?友達の家の庭って、ダイタ〜ン!それ、いつ?」
「7月の半ばくらい?」
「その時はもう好きだったの?」
「う〜ん、どうかな。じゃれててキスしたようなもんだし。」
「じゃれてて?じゃあ、ノイちゃんはキスされて好きになったの?」
「う〜ん、そういうことになるのかな・・・・・・。」
「その時の感想は?」

まだ、聞くんだ・・・・・・。
いつから、好きなのかな。
自分の中で、GOサイン出したのは最近だけど。

食後のミントティーを一口。
ミントは消化を助けるから注文しただけなんだけど、あの時を思い出してしまう。
シュウ君、車の運転中はミントガムを噛むらしくて、あの時も・・・・・・。
いや、いかんいかん。
さらりと話してお店を出よう。

「あの子の唇って薄く見えるのに、結構柔らかいのよね。不思議。」
「そうなんだ♪」
「・・・・・・うん。それが意外でね。」
「薄くって柔らかい?なんか、生理用ナプキンの宣伝文句みたいだね!」
「・・・・・・」

なんてこと言うんだ。
しかも、カフェで。
 

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