情熱の扱い方〜前編〜

□強くなる前に
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「そりゃあ、ノイちゃん、ズイマーだよ。」
「・・・・・・だよね。」

平日だというのに、ランチはフミちゃんと一緒。
私がこの1週間、感情の整理がつかずにパニックになっていたから、フミちゃんは会社を休んで駆けつけてくれた。

「再会して3ヶ月以上でしょう?前から好きだったって言うんだしね?普通さぁ、そんなに待たせたら、男の子は体壊しちゃうよ?」
「・・・・・・すみません。」
「密着しておいてお預けじゃ、発狂ものだよ。離してくれたなんて、愛以外の何物でもないよ!」
「・・・・・・うん。」
「歳なんだから、1回くらい寝たって良かったのに。適当な女ひっかけるってこともやらなそうだから、これから風俗行っちゃうかもよ?」
「・・・・・・ちょっと!」

油断も隙もない。
でも、諌めてくれるから、少しだけ気分が楽になる。
いやいや・・・・・楽になっちゃ、いけないのかな。
いけないよな。

「いいじゃん、いい男なんだから。せっかくいいところまで行ったのにさぁ。」
「そういう方がいたから、落ち着いていらしたんですねぇ。」

そして、どういう組み合わせなのか、石井女史もいる。
でも、今、なにげに失礼なこと言わなかったか?

「においってなにがダメだったの?臭かったの?」
「違うよ。よく分からないけど、ラベンダーみたいで。」
「澤村君、ラベンダーの匂いがするの?」
「うちのトイレの芳香剤、ラベンダーですよ!」
「あはははは。石井さん!面白ぉい!」

ダメだ。
オチオチ反省もできないや。
食べるしかない。

今日は、タイ料理。
私はパッタイという焼きそば。
・・・・・・おいしい。
フミちゃんが蒸し鳥食べたいと言って、たどり着いたのがここ。
石井女史はガパオと言う、鳥のそぼろかけご飯みたいなものを食べている。

あの日。
澤村君の肌の香りから、私は『この人は違う』と、本能で理解してしまった。
なんで香りでそう感じたのかは分からないけど。

まるでラベンダー。
澤村君からラベンダーの香りがしたわけじゃない。
私はラベンダーの香りが苦手。
花がきれいで近寄りたいのに、香りが邪魔して手に取れない。

魅力的で、見るのは大好きなのに、なぜか私には合わない。

そういえば、いつでもかみ合わなかったもの。
その、かみ合わない感じが若い頃は楽しかった。
それで、今は?

年を取ったからかな。

相手にうまく合わせられなくなってきたように思う。
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