情熱の扱い方〜前編〜

□霧島つつじより赤く
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「また遊びに行くの?」


母が干渉してくる。

明日は日帰り京都って言ったら、これだ。
私が楽しく余暇を過ごそうとすると、いつもこの文句。

いっっっつも。

もうオバサンの年齢なんだから解放してよね。

「いいじゃない。何のために働いてるのよ。」

「遊ぶのも結構だけど、義務を怠るのは良くないわよ。」

義務って何だ。
日本国民の三大義務って勤労、納税、教育(を受けさせる義務)じゃないか。
全部ちゃんとやってる(教育は、親になってないから、当てはまらないけど)。
何の問題があるんだ。

「やるべきことはやらないで遊んでばっかいて・・・・・・」

やるべきことって何?
仕事だってやっているし、完璧な『娘』でいてあげているじゃないの。
何の不満があるって言うの?
私からいろんな自由を奪い去って、これ以上どういう拘束がしたいって?

「親戚から来たお見合いがダメって言うなら自分で見つけてこないとダメでしょ?」

・・・・・・むかつく。
結婚は義務なのか?

でも、一応、明日はデートかもよ。
とはいえ、澤村君と京都っていうのは言えない。
言いにくい。
澤村君と結婚するつもりならガッチリ押さえておかないとだよね。

とにかく!
ちゃんと品格保持しながらやってるんだから、いいじゃん。

ああ、ノイローゼになりそう。


ふんわり、羽がたくさん舞い上がった。
まるで、羽毛布団を引きちぎったかのように。

すごく、痛い。

・・・・・・ああ。

これは、私の背に生えている翼の羽なのか。

「地に足を着けて生きなさい!」

母の声が響く。

羽のほうは、さらに激しく、何かにどんどん蝕まれて、どんどんむしり取られていく。

「やめて!」

これじゃ、飛べなくなっちゃう。

地に足なんて着けたくない。

私に、自由を!





「・・・・・・やだ。」

急にものすごく揺れを感じた。
何かに押さえつけられている?
私はもっと自由がほしい。
自由を勝ち取れないことを嘆きたい。

「自由よ、汝の名の下で・・・・・・」


《・・・・・・We'll soon make a brief stop at KYOTO.・・・・・・》


京都って言った?


何やら騒がしい。
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