zaregoto
□第2章
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「あれからあの夢見てる? 」
「え?あぁ、覚えてないんだよな。最近。」
「見てないやん。」
「そうかもな。」
あれから番組はみるみる人気になって行った。目まぐるしく過ぎる日常。夢も見る暇さえなかった。というよりは、忘れそうになっていた。
もともと物静かな相方が話を切り出したのは珍しい。でも、またすぐに目線を落とし喋らなくなった。いつもなら気にならない、でも、この時は何故か胸が苦しくなった。
.....ザザッ.....ザ..やん。...そ...つき..
....又吉....?....
「おぃ、起きろって。祐さん!!」
「え....?た..崇.....?俺何時から寝てた?」
「さぁ。相方といい、最近お忙しい方々ですからね。」
吉村が皮肉を言った。
「お前らも変わらないだろ。つーかよ、お前さ、最近あの夢見てる?」
「あの夢?あぁ、そう言えば見てないなぁ、何かあったのか?」
「いや、又吉が言ってたからさ。」
「そっか、そっか。あ、祐さん次衣装替えじゃなかった?さっきスタッフが探してたよ。」
「そうなの?ありがとう。」
.....バタン...
俺はこの時の崇の変化を気付けなかった。もちろん、相方の又吉のもだ。
「吉村くん、嘘ついたよね。」
「お前だって寝たふりすんなよ。」
さっきの声は確かに又吉だった。何を言いたかったんだ?
...ガチャ....
控え室に入ると、西森が着物姿で座っていた。俺の入る音に反応したように俺の事を下から見上げる様に睨んだ。
......ザザッ....ようやってくれましたな。....あ....やべさ....ん...大林は....消えましたわ.....
また、耳鳴りの様に聞こえてきたのは目の前にいる西森の声だった。
「う、ううぅあぁ!!!!」
「え?え?ちょっ、綾部さん?」
激しい頭痛により俺の意識は遠のいて行った。
.....ここは...どこだ....?....
俺の周りには見慣れない、古びた教室の風景が広がっていた。
続く。