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□聖母ととあるスレ主の大空少年救出劇
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「聖母ととあるスレ主の大空少年救出劇」
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「はぁ…………」
沢田綱吉――ツナは誰もいない公園のブランコをこぎながら、ひとり物思いにふけっていた。
それも、かなり深刻な悩みによって。
「まさか、家を追い出されるなんて……な」
今日、――転校生の少女への暴行を反省していないという言いがかりをつけられ、自身の家族の手によって、ツナは生まれ育った家を追放された。酷い悪口、暴力もセットだ。
そしてそれに対して、ツナの周りにいる誰の中にも、擁護してくれる人間は居なかった。
「どうして……だよ……ッ、」
本当は少女に暴力なんて奮っていない。
すべては嘘なのだ。自分は嵌められた。いきなり屋上に呼び出されたと思ったら、自分の頬を叩いて、泣き出して。
駆け寄って来た獄寺達に、下手くそな嘘をついて。
「何で……誰も……俺を、信じてくれないの?」
それでも、《元》仲間はひとり残らず騙された。あの少女を必死に庇って、ツナに向けて数々の暴言を吐いて、殴りかかってきた。
要するに、自分は捨てられたのだ。
過去に築き上げた絆も、思い出も、何もかもと共に。
「――――捨てちまえよ、そんな過去」
「え?」
思わず、涙を浮かべたままの情けない顔で振り返ってしまった。
目のあった、眼鏡をかけた見知らぬ姿の青年はうおっ、とうろたえながらも、ツナに話しかける。
「悪いな、いきなり話しかけちまって。こんな時間にどうしたんだよ? 中学生がひとりで公園にいるってさ、彼女にでもフラレたか?」
「…………」
彼女。
そういえば、自分を嵌めたあの女はツナに対して、婚約を迫っていた。勿論、ブラッド・オブ・ボンゴレと、巨大マフィアの10代目としての偉大なる威光目当てだったが。
「……すまん」
「……いえ」
黙り込むツナを目にして、青年は何かを読み取ったのか腕を組んで謝った。
そして、おもむろに口を開く。
「なぁ、お前――この町の何でも屋って知ってるか?」
何でも屋?
噂や物語の中でしか見た事のない店の名前に、ツナは首をかしげた。
それを見て、青年はニカリと笑う。
「俺のバイトしてるところ、そこなんだけどさ。ちょっと主と掛け合ってみるわ」