★歌広場淳★

□もう会えなくなるなんて。
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君がね、照れ臭そうに



「私も大好き」って

言ってくれたんだ。



夕方の病室が
少しだけムードアップしてくれる。



夕日に照らされる君の顔。


きっと顔赤いよね。



君とこの病室で知り合ったのは
僕が盲腸で入院した
三ヶ月まえのこと。



たまたま同室だったんだよね。



君は窓際でいつも
外を眺めてた。




時々僕の方をチラッと見るから
声をかけたのが始まり。



「ツートン初めてみますか?」



これが第一声。


「え、あ、はい」


少し頬を赤らめて
うつむく君に少しだけ
きゅんとしたんだよ。



それから僕らは仲良くなって
毎日はなすようになった。
僕が退院するってなったときの
君の顔が今でもわすれられない。


目にいっぱい涙を浮かべて
窓の外を見ていたこと。



もう会えないってわけじゃないのに
ってそのときは思ったんだ。




僕はそれから
ほぼ毎日仕事が終わると
名無しさんちゃんのもとに行った。


仕事での愚痴も
嬉しかったことも
君は僕の話をいつも
真剣にきいてくれたね。



でも君のことは
一切知らなかった。


僕自身も聞いていなかったし
名無しさんちゃんは



「私元気なのに」


って言うから
そこまで気にしていなかったんだ。
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