イナゴ短編ろぐ。2
□マサ蘭いちゃいちゃ。
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(プラトニックもいいけれど)
「付き合ってるんだからキスくらいしたいです」
「…まだ、だめ」
壁に追い詰めても、なお、
全力で抵抗するとは。
でも、
逆にそーゆー態度がそそるっていうか。
「無理矢理してもいいですか」
顔を覆う手を退かす。
手首を掴んで壁に押し付けると、真っ赤かの霧野先輩の顔を拝むことに成功。
あらまー。
耳まで真っ赤しちゃって、この純情さん。
もうさ、
めちゃくちゃ可愛い。
…やべ。
なんかよだれでてきた。
「先輩我慢できそうにないんですけど」
いやまじで。
「キスしたいです」
「やだ…」
「どうしてですか」
「…こわいから」
「怖くしませんって。優しくします。」
「ほんとう?」
「ちゅって、一瞬やるだけにします」
「…なんで狩屋はそんなにキスしたいの」
「そりゃ、先輩が好きだからですよ」
言葉だけじゃ足りないの。
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(結局、いちご味のキスを)
「…先輩、あーん」
「…は?」
「ほら、お口開けてくださいよぉ」
「…それ、お前の食い掛けのチュッパチャップスじゃん」
「そうですよ?」
「いや、なにその見ればわかんだろ″顔。」
「はい。あーん。」
「シカトかよ。」
「先輩の好きな莓味ですよー」
「きけよ。」
「あんま焦らすと無理矢理ちゅーしますよ。」
「…お前なぁ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(向き合おう?)
恋は盲目。
じゃあ愛は?
…………………………
「愛はもう、盲目じゃすまないんですよ。」
見えなくても、ちゃんと、見るようにしないと。
狩屋の鋭利な眼光。
その切っ先が、俺を撫でる。
ピリピリ。
奇妙な痺れが、全身を伝う。
「恋のうちは、いいんです。盲目でも。」
所詮、恋なんて、一人で抱えてるものですから。
幻想と一緒です。
相手に夢見て、酔しれてる。
口を動かし続けながら、狩屋は此方に歩み寄る。
手が、俺の頬を包んだ。
「でも、愛はね、」
愛は、一人じゃ生まれない。
「霧野先輩、俺が言いたいことわかる?」
(もう、)
(見ないふりはやめようよ)
・・・・・・・・・・・・・・・・
(ときめいた)
狩屋は、言う。
「先輩に対して、性別の壁なんか感じません。」
俺、男っぽくないもんな。
そう言うと、
くすくす笑って、
「違いますって。」
照れ隠しするみたいに、髪の毛を弄りながら、
「先輩が、男だろーが女だろーが、俺は好きになってました」
そう続けるんだ。
狡いだろ。
そういうの、
真っ直ぐな目で言うだなんて。
はじめてだ。
『性別関係ない』
って、言ってくれた人。
いつも
男女だとか、女々しいだとか。
ゴチャゴチャ、言われてたから。
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(大人ぶらないでください)
本当にすきなら
我慢しろだとか大事にしろだとか、
無理でしょ。
だってすきなんだもん。
ていうか、
先輩だから、我慢できないわけで。
誰彼構わず、発情してる訳じゃないし。
先輩がすきだから。
なんだってしたいと思うんですよ?
「霧野先輩。これは紛れもない愛です。」
「中学生が愛とか、ませてんなぁ…」
「あんただって、一年前は中学生だったくせに」
「そうだっけ?」
「…俺ね、いま、先輩のこと押し倒してるんですよ?もっと慌てたらどうですか。」
「いやだってさ、コレ、愛なんでしょ?狩屋からの」
「…ま、まぁ、そうですけど」
「なら、拒んだり出来ないって」
「…っ、な、に、言ってるんですか!!」
「ほら。こいよ狩屋。」
「…あっ、えっと…!!」
結局、キス止まり。
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(とうとう、半裸の状態で)
「…本当に、女みたいですね」
「ここまで来て、ソレ言うか」
「だって事実ですから。まあ、俺は先輩が男だろうが女だろうが、どうでもいいですけど」
「ふぅん?」
「俺が好きなのは霧野蘭丸であって、この感情は性別の概念超越しちゃってるんで」
「何ソレ。口説いてるのか?」
「もうとっくに、口説かれてるでしょ?」
「…ばーか」