イナゴ短編ろぐ。2

□よわいぼくと
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「大っ嫌い…」


精一杯の虚勢。




「本当は、お前なんか大っ嫌いだった!!」


溢れ出す感情に呑まれて溺れて、どうしようもない。



ああ、ほら。

もう、また、涙が、


出て来る。



心のキャパシティの狭さ。

軟弱で脆弱なメンタル。



もう嫌だ。



「…お前なんか、お前なんかいなければ!!」


お前が優しいから!!


温かくて、寄り掛かってると楽だったから!!


「優しすぎるんだよ…!!」





嫌いな訳ない。

嫌える理由なんか存在しない。


だけど、言葉が勝手に、口を急かす。

どんどん、どんどん、深みに嵌まってく。



こんなの、八つ当たりだ。



「霧野のせいだ…っ、」



何言ってるんだ。

馬鹿か?

馬鹿だろう。

正真正銘の馬鹿だ。



「霧野がいなければ、俺はもっと、強くなれた!!」



霧野がいたから、俺はここまで強くなれたんだろう。

そんなのわかってるだろう。


どうしてだ。

自分が抑えられない。




「ごめん」




ここで初めて、霧野が口を開いた。


ごめん、と、もう一度謝ると、霧野は泣いていた。





「あ…」



初めて、


君の涙を見た。












君の初めての涙は、


俺のために流したものだった。


























………………………………


後ガキ的補足


ストレスで精神ギリギリの神童くん

霧野くんに支離滅裂な八つ当たり


霧野くんは


「お前なんかいなければ!!」

の言葉に


確かにそうだ。


と、自分の不甲斐なさに泣く。


霧野くんは神童くんが
ストレスでああいう事言っちゃってるって

理解はしてます。


だけど

神童くんの言葉も
あながち間違っちゃいないな、と、

泣いた。

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