イナゴ短編ろぐ。2

□ピアス。
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思いしればいい。



俺が、あなたをどれ程すきか。





………………………


「…っ」


今日、綺麗な色をしたピアスを買った。



青に、薄い緑が溶けた、

どこか外国の湖みたいな翡翠色。





だから、



(…これで、みっつめかぁ)


穴を開けた。



最早、躊躇いや戸惑いはない。



プツッと、耳たぶを針で突き刺すだけ。





先輩に見せに行こう。


きっと、


似合うよ。


って、言ったあと、


でも痛くないのか?



って、聞くんだろうなぁ。




ああ、

最悪。






痛いにきまってんじゃん。

だって痛くしてるんだもん。



耳冷やさなきゃいけないのに、

冷やしてないし。







このピアスね、


先輩を殺す想像して開けてるんですよ。



『狩屋』

そうやって笑う、

本当に無垢に笑う先輩を


殺す妄想して、開けてる。




だって、憎いんだもん。



嫌い嫌い嫌い嫌い。



先輩が好きなのは、俺じゃないくせに。









笑ったりさぁ、

優しくしたり、本当に、





やめてよ?


俺が好きじゃないなら優しくするな。



もうとっくに、


好きなんて気持ちは通り越してしまった。




憎いんだよ先輩。




もう、大好きで憎い。





本当に、殺してやりたい。



ピアスの穴を開ける痛みなんて、



あなたを思う気持ちに比べたら、



きもちいいくらい、





ああもう、先輩。



いつかはね、


思いしればいいんだよ。




俺がどれ程、


あなたが好きだったか。

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