イナゴ短編ろぐ。2

□無価値な僕らの思惑。
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愛だの絆だのくだらない。

そういう人って、

大抵、

『愛を知らない孤独で可哀想な人』

って、描かれて、



純真無垢な少女か少年か、

まあ、なんでもいいや。

生き物が、


ソイツに無償の愛を与えて、

ソイツは結局、


愛がくだらないなんて
なんて愚かだったんだろう。


そんな台詞と共に、

今まで浮かべたことの無いような、

優しい微笑みで最後を迎える。




あーあ。馬鹿みたい。


なんて茶番。




だいたい無償の愛なんて、無価値だろ。


…………………………



桃色頭が目障りなあの人は、

俺が愛に飢えた、可哀想な少年に見えたらしい。


「狩屋、俺はお前を置いてかないよ。」



繰り返し繰り返し、

そんなことを言う。







ばっかじゃねーの。



なに、自分に酔っちゃってんの?


滑稽だ。

ピエロよりも間抜け。


なに?


もしかしてさ、救世主にでもなったつもり?


孤独な少年に手を差し伸べた、

慈悲深い聖者にでもなったつもり?



ばかじゃないの。


そんなの望んでないし。



ひとりで勝手に舞い上がってれば?






いつか、


あんたに、

致命傷をあたえてやるよ。



あんたは

可哀想な俺を愛してる自分が好きなだけだ。


なんて優しいんだろうって、

自己陶酔してるだけ。




生温いハッピーエンドは嫌いなんだ。






完膚無きまで、

ぶち壊してやる。


あんたの自尊心を。



……………………………



吊り目が反抗的なあいつは、

俺が慈悲深い、出来た少年に見えたらしい。


「霧野先輩、俺、あなたに会えてよかった。」



繰り返し繰り返し、

そんなことを言う。







ばかじゃん。



なに、自分に酔っちゃってんの?


滑稽だ。

ピエロより寒いよ。


なに?


もしかしてさ、俺を救世主とでも思ってるの?


孤独な少年に手を差し伸べた、

慈悲深い出来た少年とでも思ってる?



ばかじゃないの。


そんなわけないじゃん。



ひとりで勝手に舞い上がってれば?






いつか、


お前に、

致命傷をあたえてやるよ。



お前は

愛に飢えていた少年、っていうポジションに酔しれてるだけだ。


なんて可哀想なんだろうって、

自己陶酔してるだけ。




生温いハッピーエンドは嫌いなんだ。






完膚無きまで、

ぶち壊してやる。


お前の自己愛を。





……………………………




現実に無償の愛なんて存在しないんだよ。



だって、



無価値だもの。

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