イナゴ短編ろぐ。2

□片想い狩屋つめ。
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(相手にされてない系マサ蘭)











「だからぁ、先輩付き合おうよ」


「何言ってんだお前。」


「好きなんですってば。先輩が。」



グイッと、後ろにつんのめる感覚。


髪の毛を引っ張られたらしい。


たまりかね、振り替えると、

自分よりも小柄な、彼の頭が目に入る。

くすんだ水色の髪を揺らしながら、悪戯っぽく笑うのは、


狩屋マサキ。



最近、改心したと思ったら、この様だ。


ここ一週間くらい、

ずっとこの調子。


何を企んでいるのかは知らないが、

もう、

この無邪気な笑顔には騙されない。





「狩屋、何度も言っているが、俺は男だ。」


「分かってますよ?」



じゃあ。

どうして。







「性別とか、関係ないでしょ?」



狩屋の眼光は、

並みの人より鋭い。



視線が合うと、

思わず、息が詰まりそうになる。



「好きになっちゃったモンは仕方ないじゃないですか。」


「…本当に俺が好きなのか?」


それは、俺が、

こんなんだから?



女みたいで、

弱そうだから、

いいなりにしてやるとか、

そんな感じだろ?





「狩屋、冗談はよせ。」









……………………



勇気を振り絞った告白を、

冗談だと軽く流されたときの、気持ち、


先輩にわかる?




先輩さぁ、もっと、

自分の素晴らしさに気付きなよ。



俺、本当にもう大好きなんだ。


ぞっこんってやつ。

もう、メロメロ。








どうすればいいかな。


もうさ、

むかつくから、

校内放送で告白しちゃおっかな。















・・・・・・・・・・・・・・・・・・





(拓蘭←マサ)








「狩屋、いちごみるくとか飲むんだ。」


「…なにか問題でも?」


「いや。なんか、以外だなと…」




別に、特別好きな訳じゃないんだけどね。


甘いのは好きだけど、いちごみるくって後味しつこいし。


運動後の水分補給には向かない。


何となく選んじゃったのは、この桃色の紙パック、先輩を彷彿とさせるから。


とかいう。

馬鹿みたいな理由。



「お前、意外と甘いもの好き?」


「好きですよ」



先輩のその唇とか。
瞳とか。声とか。


「俺、甘過ぎんのは苦手なんだよな」


へぇ。




じゃあ、先輩が抱えてる甘ったるいキャプテンへの恋心、俺が食べてあげますよ。



俺、甘いもの大好きなんで。

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